有名なパラドックスであるテセウスの船を、単なる思考実験にとどめず、ニューロンの不動性という医学的事実と結びつけた構成力が本当に秀逸です。
不条理な怪異を主人公独自の理学カルテで解体していくプロセスは、読んでいて極上の知的なカタルシスを味わえます!
特に、抽象的な記憶という概念を物理的な柱の傷跡として再定義する演出は見事の一言。
感情を排除した効率という言葉がもたらす残酷さや、母親の手が小刻みに震えるといった細やかな心理描写の解像度が異常に高く、物語の説得力を何倍にも引き上げています。
ロジカルな思考と情動的な叫びが交錯する高架下のシーンは、何度読み返しても圧倒される凄まじい筆力です💯✨
「世界はバグで満ちている」――その一文から、もう心を掴まれました。
怪異を感情や根性論ではなく、“理屈”で診るという切り口がとにかく面白い。数式と論理を武器に、不可解な現象へ立ち向かう姿に胸が高鳴ります。
けれどこの物語の魅力は、冷たい理屈だけでは終わらないところ。主人公の世界が少しずつ色づいていく過程や、人との関わりの温度が、物語に奥行きを与えています。
怪異×理学×友情。
一見クールなのに、読み進めるほど熱を帯びていく感覚。
次はどんな“バグ”が現れるのか。どう解き明かすのか。
ページをめくる手が止まらなくなる一作です。