年下男子好きな38歳ミク 日々の冒険

みさき

第一章:総務部の窓辺

午前9時、オフィスの窓から差し込む光がデスクを照らす。


ミク(38)はモニターに映るメールを読みながら、そっとコーヒーカップに口をつけた。


今日も平穏な総務の一日が始まる――はずだった。


「ミクさん、おはようございます! 先週お願いした福利厚生の資料、できましたか?」


声の主は、今年新卒で配属された健太(22)。


フレッシュな笑顔が、朝のオフィスに清涼感をもたらす。ミクはちらりと彼を見上げ、ほんの少しだけ目尻を下げて微笑んだ。


「あら、健太くん。ええ、もうまとめてあるわよ。10時までにチェックしておいてくれる?」


「はい! 助かります!」


健太が去る後ろ姿を、ミクは一瞬だけ見送った。


22歳…ちょうど自分が新卒で財務部に配属された年齢だ。


あの頃は、年上も年下も他人事だった。


恋愛よりキャリア、社会人としての責任ばかり考えていた。


「…ふう」


ため息まじりの息が、カップの湯気に混ざる。


31歳で総務部に異動して7年。気づけば38歳。


周りは結婚、出産と人生の節目を迎える中、自分はというと――


スマホが微かに震えた。


LINEの通知だ。


送り主は、先週知り合った大学生の翔平(21)。


『ミクさん、今日の夕方、空いてますか? 新しいブックカフェ見つけたんですけど』。


指先が軽やかに返信を打つ。


『いいわよ。19時からなら時間あるわ』。


結婚を諦めたわけじゃない。


ただ、執着しなくなった。


その代わりに得たのは、自由な時間と、年下の男子たちとの何気ない触れ合い。


これもまた、悪くない人生だ――ミクはそう思うようになっていた。


(続く)

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