結局、うまいとは思っている。

コメゴメ

第1話 焼き魚レコーダー

建前

 焼き魚はお頭付きなので、見栄えだけでも豪勢で気分が上がる。それに他の料理は大抵箸を持ったらすぐに食べられるけど、焼き魚は身を自分で取って食べるという一手間あるのも達成感があるし。

 とれた身は、真っ白で柔らかでおいしい。

 おまけに片面食べたら、ひっくり返せばまたもう一面食べれるからお得感もある。

 



本音

 焼き魚、美味いのは分かってるが。なんて面倒な食いもんだと毎度思う。ぶっちゃけ切り身の方が好き。

 毎度毎度ちまちま解体して、身を取るのも面倒だが。頭ついてるっての、そんなにいいもんか?と思う。牛や豚や鶏はそんなに頭つけて食べることないだろうに(国によってはある。日本ではあんま見かける機会はない)

 ひっくり返して、またちまちま骨と身を離すのも嫌なとこだ。カセットテープのA面B面じゃあるまいし。今なんてひっくり返すどころか、CDやMDの入れ替えの手間すら惜しんで、配信で音楽聴く時代だ。魚ももうちょいなんとなって欲しい。

 文句を言ってやりたいが、向こうからすりゃ「そんな食いづらいのに食おうとするな」という気持ちだろう。文句の代わりに最後の抵抗とばかりに口の中に入ってきた小骨を吐き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

結局、うまいとは思っている。 コメゴメ @komegome

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画