この作品では、大きな事件が起きるわけではありません。
けれど、新社会人の一日は、目の前のことに必死になっているうちに、気づけば夕方になっているものです。
敬語、挨拶、メール、電話、職場での雑談。
社会人になれば当たり前のようにこなしていることも、新入社員にとっては、一つひとつが緊張の連続です。
本作に登場するのは、真面目すぎる田中君と、丁寧すぎる新藤さん。
失礼のないように。
社会人らしく見えるように。
相手に良い印象を与えられるように。
二人とも一生懸命だからこそ、言葉や行動が少しずつズレてしまいます。
けれど、どの失敗にも悪意はありません。
むしろ、相手を思いやろうとした気持ちがあるからこそ、笑いながらも二人を応援したくなりました。
そして、この作品の素敵なところは、新人の失敗をただ笑いものにしないことです。
課長や先輩たちは、間違いを優しく教え、ときには冗談を交えながら二人を見守ってくれます。
その温かさがあるからこそ、読んでいるこちらも安心して「あるある!」と笑うことができました。
小さな失敗を重ねながら、少しずつ社会人になっていく二人。
その変化を最後まで見届けられたことが、とても嬉しかったです。
かつて新人だった人には懐かしく、今まさに働き始めた人には優しいエールとなる作品です。
たくさん笑わせていただきながら、自分が新人だった頃の緊張や、後輩たちへの接し方まで振り返らせていただきました。
またいつか、少し成長した田中君と新藤さんに会える日を楽しみにしています。
議事録、自己申告シート、総務へのお使い、展示会、社内敬語、そして「そうですね」の距離感まで。
社会人なら一度は経験したような”会社あるある”が、絶妙な温度感で描かれています。
大きな事件ではなく、本人にとっては一大事でも周りから見ると少し笑ってしまうような出来事を、一話完結で積み重ねていくところが面白いです。
新藤さんと田中君の真面目さが、そのまま微笑ましさにつながっていて、読んでいて自然と応援したくなりました。
働いた経験がある人ほど、「分かる」「自分もやった」と頷ける場面がきっとあるはずです。
優しく笑えて、少し懐かしい気持ちになれるお仕事コメディでした。