第13話 文化祭、終戦。

YOU diedは砕けた瓦礫の上で膝をつき、血を吐きながらも必死に立ち上がった。


だが歩こうとした瞬間痛みで視界がぐらつき再び瓦礫に手をつく。


「くっ.....」


(クソ...骨....いや内臓か.....?まともに歩けねえ...)


身体の至る所から血を流した翔馬がゆっくり歩く。


(ッ...来る....!体制を...何とか....整えねえと...!)


YOU diedはそれを睨みつけようとするが──

どれだけ睨んでも、胸の奥に響くものが消えない。


(なんでだ……こいつの目……

 あいつに……似てやがる……)


翔馬が目の前に立った。


そして、何のためらいもなく手を伸ばした。


「……立てよ。

 もう戦うとかじゃなくてさ……

 お前、死に急ぐなよ。」


YOU diedの心臓が跳ねた。


「.......は?テメェ.....舐めてんのか。」


YOU diedの顔は強がるように歪む。


「勝負は.....これからだろうが.....俺は.....俺はまだ...!」


その言葉を言い終わる前に口から血が噴き出る。


「ゴハッ....!ゴハッゴホッ....!ハァ....ハァ....クソ...クソ!」


「お前.....別に戦いなんて好きでも何でもねえだろ。」


悔しそうに地べたに突っ伏すYOU diedに再び翔馬は告げた。


「何でお前がそんな事したのかは分かんねえけど....お前がまだ......罪を償う気があるなら.....この手を取れ。」


「...............」


── 信じて.......俺の手を.......


何度も何度も思い出す最悪な記憶。


あの時。


あの時信じていれば。


あの手を取っていれば........


何か変わったのだろうか。


「......俺は人殺しだぜ、殺さなくていいのかよ。」


「.....殺したからだ。」


翔馬は痛みに耐えながらYOU diedに告げた。


「絶対に逃がさない.....罪を償って.....ちゃんとやった事にケジメをつけるんだ。」


「.......逃がさない.....か。」


YOU diedが初めて心からの笑みを見せた。


「けっ、いけすかねえヒーロー野郎が。」


震えながら、ゆっくり手を伸ばす。


「言われなくても........もう逃げねえよ。」


指先が触れ──かけた。


ズブッ……!!


YOU diedの腹を、後ろから鋭い手刀が貫いた。


翔馬の手が宙で止まる。


YOU diedは目を見開き、ゆっくりと下を見る。


腹から生えた“第三者の腕”。


そして背後で嗤う声。


「──今更変われるとか思ってんじゃねえよ。

 お前みたいなクズが。」


振り返れないYOU diedに、

その声の主が顔を寄せる。


何野四天王の一人、抹殺斗だった。


右手には、YOU diedの部下、左腕の首を鷲掴みにしている。


「……あ……?」


YOU diedの瞳が揺れる。


抹殺斗は腹に刺さった手刀を少しだけ捻った。

肉が裂ける音がした。


「がっ....!!抹っ......抹殺....斗.....!!」


「お前、何感傷に浸ってんだよ。

 逃げ?償う?……笑わせんな。」


YOU diedは苦しみながら、震える声で問う。


「……サメ……は……?」


抹殺斗は首を持ったまま、無表情で答えた。


「殺したよ。

 当然だろ。

 あいつらは“駒”だ。お前もな。」


YOU diedの表情から血の気が引く。


「ふっ....ふざけんな.....!おっ....俺だけで.....いいだろうが.....あいつらは.....関係ねえだろ!」


「全部中途半端なんだよ、生き様全部。」


抹殺斗がYOU diedの頭を掴んだ。


「蒼の気もろくに使いこなせず何野四天王の一人とか....フッ...笑わせんなよYOU died。」


「ッ.....!うぅ....!!抹殺斗!!!」


YOU diedは最後の力を振り絞るように小さな拳銃を生成した。


翔馬が叫ぶ。


「やめろ!!!」


抹殺斗は冷たい笑みを浮かべた。


「YOU died。」


パン!!


弾丸は空を切りYOU diedの腹から勢いよく手が引き抜かれる。

YOU diedは顔を歪め拳銃を地面に落とし、自らも倒れた。

翔馬は必死に支えるように手を伸ばす。


YOU diedは今にも消えそうな声で、翔馬に囁いた。


「.....亜里野.......手を.....」


翔馬は戸惑いながらも答える。


「……もう喋るな!

 お前──!」


YOU diedは首を振る。


「……やっと……

 もう一度……

 手を……......伸ばせた.....のに……」


そのまま、翔馬の手に触れたまま、

光が消えていった。


翔馬は声にならない声で彼の名を呼んだ。


抹殺斗は左腕の首を投げ捨て、翔馬に向けて冷たく笑った。


「さて……やっと生意気な雑魚も潰せた事だし....帰るか。」


翔馬の拳が震える。


「......テメェ......待ちやがれ!!」


だが翔馬が立ち上がった瞬間──


「うぁっ.....!?」


地面が、視界が急速に歪み翔馬は地面へ叩きつけられた。


「限界か。

 まあ3人がかりとはいえ祝福を覚えて一ヶ月そこらでよくやったよ。」


抹殺斗が何処かへ歩き出す。


「またな、元気になったら殺し合おう。」


「待て.....止ま......れ.....」


パトカーと救急車のサイレンが鳴り響く。


翔馬とYOU diedは瓦礫の中で眠りについた。

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