静かに読み進められる物語ですが、
その静けさには、確かな深みが
あります。
戦後の世界を舞台に、武装しないと
いう選択をした少女(元傭兵) の日々が、穏やかに描かれていきます。
日々の様々な出来事に向き合う
彼女の姿は、静かでありながら、
どこか張りつめたものも感じさせて、そのバランスがとても印象的でした。
感情を強く語る場面は多くあり
ません。けれど、ふとした仕草や
沈黙、言葉にならない気配の中に、
過去を抱えながら生きることの
重さや、前を向こうとする気持ちが
そっと滲んでいます。
読者に考える余地を残してくれる、
やさしい書き方だと感じました。
読み終えたあとに残るのは、
心を揺さぶられる衝撃ではなく、
静かに気持ちが整っていくような
余韻。慌ただしい毎日の中で、
少し立ち止まりたいときに、
そっと寄り添ってくれる作品だと
思います。