少年の証言

今村広樹

本編

「うん?」

「なに、どうしたの?」

 友人に聞かれた少年は、こう答える。

「いや、今、誰かいたような……」

「誰もいないよ?」

「そうだっけ?」

「そうだよ。それよりさ」

 少年は何か、背筋がぞくりとしたけど、少年の友人にそれを言えなかった。

 そして少年は、あの友達の言葉が気になっていた。

 いつから誰かに見られてたような気がしたんだろう?

「あ、まただ」

 少年はまた、誰かに見られているような感じがしたけど、その方向を見ても誰もいないし、何もいなかった。

 そんな少年を友人は心配していて、

「大丈夫?なんか最近変だよ?」

「そう?」

「うん。なんかぼーっとしてるし。それにさ、なんか、誰かに見られてるような感じがするって」

「うん……なんかそんな気がするんだ。でも誰もいないし……」

「誰かいるの?」

「いや、いないんだけど……」

 少年は友人に心配かけないように、笑ってごまかした。

 そして少年は、あの友達の言葉が気になっていた。

 いつから誰かに見られてたような気がしたんだろう?

 少年は、どうして自分がこんな気持ちになっているのかわからなかった。

 なんでだろう。

 いや、見られていると思い込んでいるだけかもしれない。

 少年はずっと、誰かに見られていた気がしていたけど、それは気のせいなのかもしれないし、本当に誰かが見ているのかもしれない。

 そんな少年の気持ちをわかってくれる人はいなかったし、少年も自分の感じていることを誰にも話さなかった。誰にも信じてもらえないような気がして、話せば笑われる気がして、少年は怖くて誰にも話せなかった。

 自分は変になってしまったのかもしれない。

 あの友達が言ってたように……。

 それとも本当に誰かが見ているのだろうか? いや、違う気がする。

 そんな怖いことはないはずだけど……。

 もしかしたら本当に……。

 そんなはずはないと思いながらも、少年の恐怖心はどんどん強くなっていた。

 そして少年は、あの友達の言葉が気になっていた。

 いつから誰かに見られてたような気がしたんだろう? 少年は、どうして自分がこんな気持ちになっているのかわからなかった。

 なんでだろう。

 いや、見られていると思い込んでいるだけかもしれない。

 少年はずっと、誰かに見られていた気がしていたけど、それは気のせいなのかもしれないし、本当に誰かが見ているのかもしれない。

 そんな少年の気持ちをわかってくれる人はいなかったし、少年も自分の感じていることを誰にも話さなかった。誰にも信じてもらえないような気がして、話せば笑われる気がして、少年は怖くて誰にも話せなかった。

 自分は変になってしまったのかもしれない。あの友達が言ってたように……。

 それとも本当に誰かが見ているのだろうか? いや、違う気がする。

 そんな怖いことはないはずだけど……。

 もしかしたら本当に……。

 そんなはずはないと思いながらも、少年の恐怖心はどんどん大きくなっていた。

 そして少年は、あの友達の言葉が気になっていた。

 いつから誰かに見られてたような気がしたんだろう?

「ねえ、ちょっといい?」

「うん」

 友人に聞かれた少年は答えた。

「最近なんか変だよ?なんかぼーっとしてるし、それにさ、なんか、誰かに見られてるような感じがするって」

「うん、そうなんだ。なんか誰かに見られてるような気がするんだ。でも誰もいないし……」

「そっか……」

 友人は少し考え込んでいたけど、何を言ってあげればいいのか思いつかなかったようで、迷っているようだった。そして少年は思った。やっぱりあの友達が言ってたように、自分が少し変になっているのかもしれないと。いや、そう思いたかったのかもしれないけど、そう思いながらも友人の答えを待ったけど、友人は何も言わなくて……少年は怖くなって、思わず訊いてしまった。

「ねえ、やっぱり……」

「え?何?」

 友人が不思議そうな顔をしてそう答えるのを見て少年は後悔した。ああ……訊かなければよかったかもしれない。変なことを言ってしまったと少年は自分を恥じたのだった。そしてそのまま黙り込んでしまった少年を見て友人は言った。

「大丈夫だよ」

 その言葉を聞いて少年は少しほっとしたけど、その言葉の意味がよくわからなかった。

 そんな友人の答えに少年はほっとするのと同時に不安を感じていた。それが顔に出てしまったのか、それを見た友人はこう言ったのだった。

「大丈夫だよ。きっと良くなるよ。僕にはわからないことも君の知らないこともまだまだたくさんあると思うけど、そういう目に見えない世界で、見守ってくれてる神様みたいな存在は確かにいるから大丈夫。もしいなかったとしても、僕は信じてる」

 友人はそう言ったけど少年は、その言葉の意味がよくわからなかった。

 でも、友人は自分を励ましてくれているんだとわかったので、少年は少し元気が出た。そして少年は思ったのだった。この友達がいてくれて本当に良かったと……。そして友人の言葉を聞いて友人に対する友情と、その言葉から感じる友人の優しさに、少年は少し慰められたのだった。

「ありがとう」

 友人はそう言ってくれるけど、やはり、自分の感じている不安や恐怖心は消えなかった。これからどんな試練があるかわからないし……。もしかしたら耐えがたい孤独感があるかもしれないし……それに耐えられるかどうかもわからない……。だけどそれは誰に話したところでわかってもらえるようなことではないし、誰にも相談できないし、そのことがさらに少年の不安を大きい。もし、友人がいなかったら……。

 いや、ひとりでもこんなことを考えるような人はいないのかもしれない。そう考えると逆に孤独感が増してしまっていくように思えて少年は悲しかった。それに不安はもうひとつあって、それはいつまで続くんだろうってことだった。少年が見ていると言えば見るようなもので、いないと言えばいないような存在はなんなんだろう?

「ねえ、あの……」

 友人が少年に話しかけてきたので、少年はその続きを待った。

「あのさ」

 友人が何か言いかけたけどそこで言葉が止まってしまい、少年はまた不安になった。

「何?」

 そう訊き返す少年に友人はこう言ったのだった。

「いや……なんでもない」

「え?何?気になるよ」

 少年がそう言うと友人は言った。

「いや……本当になんでもないんだ」

「でも……」

 そう言いかけた少年に友人は言った。

「大丈夫だよ!」

 確かに大丈夫なのかもしれないけど、少年はそう言われると少し悲しかった。だってそれは自分の不安を和らげてくれる言葉だけど、同時に、その不安は自分ひとりだけのものではないと言われているようにも聞こえたからだった。それに自分はそんなに強くはないと少年は思っていたし、だから余計に孤独感が増してしまうのかもしれなかった。そしてそんな少年の気持ちを察したのか友人が言ったのだった。

「ねえ、大丈夫だよ」

 友人がそう言ったけど少年は、その言葉は自分ひとりだけに向けて言われたものではないと感じてしまい、余計に悲しくなった。そして少年は思った。

「本当に大丈夫なの?」

 そう訊いても友人は答えてくれなかった。だから少年は不安になるのだった。

 でも、そんな少年の気持ちをわかってくれる人はいないし、少年も自分の感じていることを誰にも話せなかった。誰にも信じてもらえないような気がして、話せば笑われる気がして、少年は怖くて誰にも話せなかった。

 自分は変になってしまったのかもしれない。あの友達が言ってたように……。

 それとも本当に誰かが見ているのだろうか? いや、違う気がする。

 そんな怖いことはないはずだけど……。

 そんな少年の恐怖心をわかってくれる人はいなかったし、少年は悲しくなった。そしてそう思ったまま少年は友人から少し離れたところに行った。本当はそこまでする必要はなかったのだけど、そうしなければいけない気がしたのだ。離れたことで余計に孤独を感じてしまい少年の目からは涙が流れ落ちそうだったけど、友人には泣いていることを知られたくなかったので必死に堪えていたのだった。

 でも、その時だった。

 少年の後ろで友人がいきなり悲鳴を上げたのだ。その叫び声を聞いて少年は慌てて振り返ったけど、もう遅かったようでそこには誰もいなかった。そして友人はそのままどこかに行ってしまったようだった。

 でも、どうして? なんでだろう? やっぱり自分のせいだろうか? それとも何か別の理由なのか? 少年にはわからなかったし、それに今はそれどころじゃなかったので考える余裕はなかったのだけど……それでも少年が友人を探そうと思った時、友人が自分を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。それはとても苦しそうな声で、少年はすぐに友人の声だとわかった。

「たすけてくれ!」

 その声を聞くだけで少年は胸が張り裂けそうだったけど、それでも少年にはどうすることもできなかった。そしてそのまま友人の声は途切れてしまった。でも最後に聞こえたのは「助けて……」という言葉だった。

 その言葉の意味がわからなかったけど、少年にとってその言葉はとても重く感じられたし、同時に自分が何かしてしまったのではないかと不安になったのだけど、それでも何もできなかった。そしてそんな少年の目の前に映っていたのは……

 血まみれになって倒れている友人の姿だった……。

 そんな友人の姿を見て少年は涙を流しながら思ったのだった。

 この友人は本当に大切な存在だったのだなと……そしてもし自分がいなければこんな目に遭わなくても済んだのではないかと考えるとますます悲しくなったのだった。でも、だからと言って自分のせいではないともまた思えない少年でもあったのだ。それに少年が見たのが友人である証拠はなかったのだけど、それでも少年は確信していたし、だからこそさらに悲しい気持ちになるのだった。そして少年は思ったのだ。自分はなんて無力なのだろう......。


作者注:この話をしてくれた○○君は現在行方不明になっています。

 なにか情報をお持ちの方は○○警察署か当方経由でご親族にご連絡ください。

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