理不尽と金
バイト募集
便利屋 月30万固定
9時〜基本17時
週休2日 事務作業
残業あり ボーナスあり
私は三日前、
事務所のドアに張り紙を出した。
仕事が入ると、事務所が留守になる。
電話対応が取れず、少し困っていた。
まぁまぁの給料だろう?
物の怪退治で、なぜ金があるのか。
私は地元の地主や会社から、
複数の依頼を定期的に受け負っている。
なぜ地主でいられるのか?
なぜ金持ちになれるのか?
この世は、理不尽だ。
昼のお弁当を食べ終わった頃、
コンコン。
「すみません、
バイト募集の張り紙を見ました」
早速来たか。ドアを開け、
「中にどうぞ」
お茶を出し、ソファに促す。
そう、面接だ。私は初めて人を雇う。
「失礼します。これ、履歴書です」
受け取り、
「座ってください」
名前は、桜 真希。24歳。
高校卒業後、地元の会社に就職。
六年後退職。体力に自信あり。
……経歴とか、どうでもいい。
私は真剣に目を通すふりをする。
「一つの会社に六年ですか。
真面目で良いですね」
それっぽい事を言う。
「はい。体力には自信があります」
はい、合格。体力は大事だ。
依頼の電話と店番で、
そこまで使わないけど。
真面目なら良い。別に可愛いからじゃない。
The・大和撫子、という外見でもない。
大事なのは、中身だ。
私は思った。聞くことが、何も無い。
これでは雇う側の威厳が下がる。
頭をフル回転させ、
「前職の退職理由を聞いても?」
「はい……ちょっと、
仕事の割にお給料が安くて」
「緑屋さんの張り紙を見た時、
ここだ、と思いました」
まぁ、少し栄えた田舎だ。
大手でもない会社なら、給料もそんなものだろう。
「明日からでも、働いてもらっていいけど」
嬉しそうに、マッキーは言った。
「本当ですか。ありがとうございます」
おっと、仕事の説明をしなければ。
「紙にある通り、30万固定。
残業は日によってあるかもしれない」
「休みは言ってくれれば、融通は利くよ」
頷くマッキー。
「はい、頑張ります」
「基本は電話番と、事務所の番。
私がいない時は、一人で頼む」
「簡単。だから明日から教えるよ」
やる気満々のマッキー。
「はい。明日からよろしくお願いします」
その後、髪や服装は派手すぎなければ自由。
昼のお弁当とお茶は出る。
そう伝えて、帰ってもらった。
湯呑みを片付けようとして、
一つ多いことに気付いた。数え直す。
最初から二つしか無かった。
私は何も言わず、流しに置いた。
今日は、静かな日だ。
緑屋、初の仲間が
誕生した一日だった。
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