「本日はところにより、鉄砲が降ります」
押谷薫
「本日はところにより、鉄砲が降ります」
――本日はところにより、鉄砲が降ります。
いつもの出勤前のことである。
朝食後のコーヒーを呷っていると、テレビからそんな音声が聞こえた。
天気図には確かに鉄砲のマークが表示されている。
(ふざけているのか?)
って言うか。この天気予報士は何を言っているんだ。
そもそも、こんなニュースをお茶の間に流すなよ。
俺が呆れていると、世界情勢の報道へと内容が変わった。
特に訂正されることもなく、テレビは流れ続けている。
待てよ、と思った。
俺の知識が拙いだけかもしれない。
鉄砲雨と言うように、これから激しい雨を「鉄砲」と言うのだろう。
きっと雨が降るに違いない。
(折り畳み傘を持っていけばいいか……)
あれこれ考えた挙句、凡庸な結論になってしまった。
まさか本当に銃弾や鉄砲そのものが落ちてくるわけでもない。
そんなことがあれば、その地帯にいる人間は死んでしまう。
発射されたものでなくとも、それを使用してしまう可能性だってある。
(そんなバカなこと、あるわけないな)
身支度を整えて、マンションを出る。
ありえないとは思いつつ、俺は警戒をしていた。
外に出た時は明るく、雲一つないことがわかったからだ。
一体何が起こっているのか。
空を見上げる前に、地面に落ちているモノが目についた。
白い風船のような、ブヨブヨしたもの。
俺は視線を地面から空へと移動させる。
空からボトボトと間違いなく、「鉄砲」が降り注いでいた。
「これって、つまり……」
正確には「てっぽう」と言うべきだろう。
どういう状況はわからないが、空からフグが落ちていた。
「本日はところにより、鉄砲が降ります」 押谷薫 @oshitani666
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