2.死体刻みのシスター
国教であるアルティナ教。その教会の関連施設の一つに、彼女の職場はある。
そして
「全身に深い裂傷が多数。でもどれも致命傷ではなく、出血多量が死因ですね。複数の刃物が使われた形跡もなく、おそらく単独犯。痛ぶってから殺したとすると私怨でしょうか。太刀筋が綺麗じゃないし、剣技に関しては素人」
彼女の職業はただの
死体を損壊する行為は法律(というより戒律)で禁止されており、検死という行為も例外ではないが、許可を受けたシスターのみが特例として認められている。
検死をする者は彼女以外にもいる。しかし外傷から死因等を調べるだけでなく、解剖して胃の内容物を調べたり、そこから毒物の検出まで行うのは彼女くらいのものである。
実際、彼女とて解剖までやることは稀であるが、それでも彼女はこう呼ばれている。死体刻みの外道シスター……と。
*
マリスとラディ。『死体刻み』のシスターと『死体漁り』のカラス。生者から嫌われ死者から愛される二人は
彼女にとってラディが特別な存在であるのは、それだけが理由ではない。
*
仕事を終えた彼女は教会の『別館』を離れ、ある場所に向かう。そこは
彼女は目的の家に到着すると、呼び鈴も鳴らさずに玄関のドアを開ける。生きることにさえ無頓着な彼──ラディは、滅多なことでは鍵さえかけない。
「来ましたよ。あの……見つけたって本当ですか?」
マリスは部屋に入るなり、ラディに尋ねる。彼も彼女を見るなり首肯して応じた。
「うん……見つけた」
「さすがはラディですね。その気になれば相手がどこにいたって見つけてしまうのですから」
「死体ならね。でも僕は生きたまま見つけたかったよ……今回ばかりは」
そう言った彼の表情があまりにも切なくて、マリスはぞくりと感じてしまう。
「で……パメラはどこにいるんですか」
「タルクラルの森」
「……そんな近場に?」
タルクラルの森は、この街のすぐ近くにある──犬のお散歩コースにもなっている場所である。とても死体を隠すのに適した場所とは思えない。
「古代遺物を使っているのか、不可視の領域があるんだ。そのせいで
「なるほど……そこが狩場というわけですね」
「うん。たぶん二十人以上は埋まっている……とんでもない奴だよ。犯人は」
ラディの目に怒りが
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