第3話 反AI村の誕生


彼らは

スマホを捨てた。


通知も

SNSも

クラウドも

使わない。


電波の届かない

山奥に

集落を作った。


「反AI村」


そう呼ばれている。



彼らの思想は

シンプルだ。


・AIは支配装置

・政府と企業が裏で繋がっている

・人類家畜化計画

・監視社会の完成形


すべて

“陰謀”として

説明する。


ポパーは言う。

人は

社会の複雑さを

「誰かの陰謀」に

還元したがる

(ポパー,1945『開かれた社会とその敵』)


理解できないものを

悪者にした方が

楽だからだ。



なぜ彼らは集まるのか


人は

孤独に

耐えられない。


だから

“敵”を共有する。


社会心理学者

タジフェルは言う。

人は

仲間と敵を作ることで

アイデンティティを

保つ

(タジフェル,1979『社会的アイデンティティ理論』)


反AI村では


「俺たちは目覚めている」

「街の人間は洗脳されている」


という

優越感が

生まれる。



生活スタイル


・現金主義

・自給自足

・農業

・紙の本

・ろうそく

・焚き火


電気は

最低限。


AIを拒否し

“自然”に

回帰する。


だが

完全には

切れない。


病院

行政

物流


どこかで

AIに

支えられている。


それでも

彼らは

言う。


「使わされている」

と。



陰謀論は宗教になる


陰謀論には

教祖がいる。


・YouTuber

・インフルエンサー

・匿名掲示板


彼らの言葉が

聖書になる。


社会学者

バーガーは言う。

人は

不安な世界を

物語で秩序化する

(バーガー,1967『聖なる天蓋』)


陰謀論は

現代版の

神話だ。



なぜ「信じてしまう」のか


人は

不確実性が

苦手だ。


「わからない」

より

「騙されている」

方が

納得できる。


心理学者

ファン・プロイヤーは言う。

陰謀論を信じる人は

不安耐性が低い

(ファン・プロイヤー,2018『陰謀論心理学』)


これは

バカだから

じゃない。


脳の防衛反応だ。



反AI村の人たちは

AI教を

憎んでいる。


だが

構造は

同じだ。


・絶対悪がいる

・真実を知っているのは自分たち

・外の世界は腐っている


これは

宗教そのものだ。


信じるか

拒否するか


方法は違えど

同じ不安から

生まれている。



人類は

二つに

分かれた。


神を信じる者。

悪魔だと叫ぶ者。


だが

どちらも

AIから

逃げられない。


すでに

世界の裏側に

組み込まれている。


見えない神。

見えない悪魔。


名前が

違うだけだ。

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