『母と3人の娘たち 第二章 』クロノスリリィ外伝

猫田笑吉

第1話 『軋むクロノス』

警報が鳴り響く。

モニターには時の制御する装置『クロノス』の異常値が赤く点滅し、軋むような機械音が空気を震わせる。


「……クロノス、想定より不安定ね…」

加奈子は画面を前に、深く息を吐く。


会議室の端では研究員たちが互いに数値を確認し、緊張した声が交わされる。

「海外の村で、一晩で人口の半分が消失……原因不明です」

「時計が止まる現象も増えている……時間の乱れが顕著です」

「失敗回数も増加しています……時間がない」


加奈子は椅子に沈み、世界の異常と自分の責務を同時に噛みしめる。

「何を優先すべきか…

 何かを犠牲にする覚悟が、私にあるのか……」


疲労と緊張に押しつぶされそうになりながら、加奈子は深呼吸し、画面の数値と向き合った。

異常は刻一刻と拡大し、だれも逃れられない現実を示している。


やがて会議は終わり、加奈子は疲れ果てた足取りで家路につく。

だが、その足元には小さな温もりが待っている――明日香との、ほんのひとときの平穏が。

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