髪 -恋の終わらせ方

chacha

髪 -恋の終わらせ方

 じょきん、と言う音とともに、ぱらぱらと髪が落ちていった。


 あーあ、切っちゃった。まぁ、美容室に来てるんだから当たり前か。


 今回は、15cmくらい切った。一年とちょっと伸ばしてた。いや、伸ばしてたって言うと変だな。一年くらい失恋しなかったってこと。


 あたしは、失恋したら髪を切ると決めている。それ以外の時は、よっぽど必要に迫られないと切らない。

 それで、美容室で髪を切ってもらっている間は、好きだった相手のことを思い出す。

 今回は、ホントに好きだったなぁ。芯があって、まっすぐで、あたしなんかよりずっと大人だった。あたしは釣り合ってない気がした。一緒にいて楽しいんだけど、会った後は必ず、ひとりで勝手に苦しくなって、自分が嫌になった。


 彼が撫でて、口づけて、綺麗だって褒めてくれた髪。あたしから、少しずつ離れていく。ちょっとだけ寂しい。

 彼を好きだったあたしが。床に散らばっていく。


 切り終わって、鏡を見れば、いつもの恋をする前のあたしに戻ってる。黒髪のボブ。センター分け、前髪はナシ。


 美容室を出て、街を歩く。足取りも昨日までより軽い。


 さて、次に髪を切るのはいつになるかな。

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