6-2
「エミール閣下相手ならまだ楽な方だ。だけど問題はあの姉妹がいた場合だな…」
ソルーシュの呟きにヴィルヘルムが首を傾げた。
「クララ様達がいたら、何か不都合なことでもあるのかい?」
きょとんとするヴィルヘルムにソルーシュは呆れて宙を仰ぐ。
「大有りだ。主にオレの心労的な意味で。後この際だから言っておくが、エッダ嬢はお前を取り巻きの一人にしたいくらい執着してるんだよ。
もし今夜の晩餐会に同席することになったら、ずっとべったり引っ付かれてナズナ姫の護衛が難しくなるぞ」
「え、そうだったのか…。それは困るなあ…」
ミッターマイヤー家三姉妹の話になった時、ナズナはあの舞踏会で会った美しい三姉妹の姿を思い出していた。それと同時にリュウシンのものとは違うあの鋭い視線のことも。
ソルーシュの話を聞いてナズナは、エッダやイリスが自分に向ける視線の鋭さの意味を今更ながらに理解した。
自分の想い人(?)が一応身内とはいえ、異性に甲斐甲斐しく世話を焼いているところを見せられて、さぞかし面白くなかっただろう。
知らなかったとはいえ、自分も少し従兄や幼馴染に甘え過ぎたかもしれないとナズナは反省した。
これからは気をつけねば。
そう考えてミッターマイヤー家に着いたらどう動くかを自分なりに考えてみる。もしも三姉妹が今夜の晩餐会に同席することになったら、自分はジェラルドの相手に集中するようにしよう。そして何よりビスマルク家令嬢として、恥じない振る舞いをするようにせねばならない。
考え込むナズナの横でソルーシュが首を傾げて幼馴染の騎士に言った。
「…とはいえ、今回ばかりは腹を括ってオレとヴィルが令嬢達の相手をするしかないな。
目的はミッターマイヤー家の城のどこかにあるナズナ姫の記憶の欠片だし」
おそらく欠片を探すにしても、ナズナの事情を話すにしても、ジェラルドと二人きりの方が都合がいいだろう。三姉妹達もあの噂を真実にしたい気持ちはあるだろうから、もしもいた場合、そこを利用した方がいい。
だがヴィルヘルムは渋い表情をしている。彼の考えていることが何となく分かるソルーシュは肩を竦めた。
「おいヴィル、ナズナ姫のことがそんなに心配なのか?」
「当たり前だよ。ジェラルドは真面目な奴だから信頼出来るけど…」
ヴィルヘルムの返答を聞いてやっぱり、とソルーシュは溜息を吐いて警告した。
「言うと思ったぜ。そう思うのは勝手だが、ミッターマイヤー家に着いたらその思いは隠しておけよ。
女の嫉妬ってのは怖いからな」
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