第19話 小さな大切な命の話、1
長月 空 @チーム長月 雨ノ邪鬼 12月〜再休職中
2025年10月7日 08:28
ども、黒だ
今日は曇って視えない月を想像しながら、小さな、それでいて大切な命の話をする
俺にはジャンガリアンハムスターを2匹迎えてた過去がある
今回は1匹目の話
小学校3年の途中から小学校の6年くらいまで迎えてたのが「ロベ」
父親が会社の人から「ハムスターが子どもを産んだ。育ててもらえないか」といった話から迎えることになった
父親の手から出てきた、紙製の小さな箱
その中からヒョコっと顔を覗かせた可愛い奴
初めて見る小さな命にスッゲえ興奮しながら喜んで兄貴と名前を考えた
しっくり来ない中、俺が習ってた習字教室で貰ってきた週刊少年サンデーの表紙だったサッカー選手の「ロベルト・バッジョ」が目に入る
言ったのは兄か妹か
「ねぇ、ロベは?」
そこから何の知識も道具もないままハムスターとの生活が始まった
ロベは子どもの俺を夢中にさせた
夜中トイレに起きりゃ、シャカシャカ一生懸命滑車を漕いでる
餌は一生懸命頬張り、頰袋はパンパン
赤ん坊の頃から人に触れてたからかよく懐いた
巣の掃除の為に出せばテーブルの端から端まで探検
落ちやしないかと毎回冷や冷やするんだが、奴もちゃんと下を覗きこんでるから危険な高さからは落ちない
掃除を終えて元の場所に戻すと自分の匂いが無ぇ!とばかりに辺りをチョロチョロ、キョロキョロ
ある時、手に乗せたまま耳へと当てたら、まあ心臓の音が速いのなんの
人間はドクンドクン、ロベはドドドドドって感じ笑
当時は流行してた割にはハムスターに関して知識は流通してなかった
餌はイメージ通りにヒマワリの種を与えてたけど、アレって今は良くないとかって話聞いたな
脂質が多いんだっけか
ただハムスターって何でも口にいれるから何でも与えてた
絶対駄目って有識者からは怒られるだろうけど、ラーメンの麺を追いかける様にして食ってるの可愛かった
後は父親の飲む緑茶の葉も乾燥したパリパリのまあ良く食ってた
ある日父親がトイレから青ざめた顔して出てきて「ネズミがトイレにいる。水責めにしよう」と言い出した
待てよと思ったのは母親
「ねぇロベいる?」
巣を見れば伽藍堂
奴は脱走して実家のトイレに籠もったらしい笑
脱走の成功は後にも先にもその1回だけだったけど、チャレンジは何度もしてたのを知ってる
前足だけで体を支えて、雲梯かよと思う動きで少しずつ出口に近づいて歯でこじ開けるやり方らしかった
ハムスターは風呂が苦手らしいがウチのは好きらしかった
コレも怒られそうだが、あんまりに臭いがキツくなると風呂に入れる
桶の中に溺れない程度の湯を入れ、落ち着くまでの間に俺の体を洗う
落ち着いたら今度はロベの番
多分駄目だろうけど人用のシャンプーを薄めに溶いて泡立てから顔以外を洗ってやる
これがまた泡と毛の感触が相まって触り心地最高なんだわ笑
ゆっくりお湯で流してやって今度は謎に入浴笑
手で優しく囲うようにして抱え、そのまま顔だけだして俺と1匹はお風呂にイン笑
んでさ、何でそんな事すんのかっていうとさ、アイツ暫く風呂浸かってると寝るんだよ笑
目が段々細くなってきてうとうとしたかと思えばこっくりこっくり
すんげぇ可愛かったから起こして風呂上がるのを躊躇う程だった
風呂上がりは風邪を引かぬようにしっかりタオルで拭く
それでも足んないからドライヤーで乾かすんだけど、音も風も凄いから逃げ回るのなんの
軽く掴んでもするっと抜けるから最早逃げるハムスターをドライヤーで追いかける感じだった笑
風呂上がりの奴の毛はいい匂いだし、いつも以上にふわふわで思わず頬ずりしてしまう
そうそう、その頃の実家は夏休み必ず東京のキャンプ場に行ってたんだが、置いていくわけにもいかないって小屋ごと車に乗せて連れてったな笑
参加メンバー皆から可愛がられたり羨ましがられてたかな
冬眠という言葉は奴から学んだ
寒くなる前、奴はよく食べよく眠った
冬毛というのもあるけど、それまでより大きく大きくなった奴は真冬になると巣から姿を見せなくなった
こっそり覗いてスヤスヤ寝てるのを見て胸を撫でおろす
奴が眠り続ける少し寂しい冬が終わり、春になると途端に腹が減った!と目を覚ます笑
いつものように滑車でシャカシャカしては餌を食い、またシャカシャカしては餌を食う
後から聞いたんだけど、ハムスターが滑車好きなのってアレ運動とかじゃなくて餌を探し続けてるんだってね、本当なんかな?
ロベが目を覚まし活動するようになると実家も(主に音の面で)騒がしくなる
それは楽しい季節の始まりとも言えた
金属の網網の小屋を齧って歯を削るだか研ぐだかしてる姿も必死でなんだか可愛い
欠伸する時に見せる大きな前歯は少し黄色だった
俺が特にジャンガリアンハムスターのロベを可愛いと思うのはつぶらな真っ黒の目と、オマケかな?と思うほどに小さい白い尻尾
奴とは沢山遊んだし沢山学ばせてもらった
けど、小学校6年生の冬に辛いお別れがやってきた
それはいつも通りの冬
冬の寒さの中こたつに入ったまま俺が母親に
「最近ロベ見ないねー。また冬眠かぁ…」
といった
冬眠期間は寂しいと知っていたから、いけないだろうけど巣からロベを出してみた
長い冬眠の前のたった1回の挨拶のつもりだったと思う
けど、それは永遠の別れとなった
その挨拶が間違っていたのか合っていたのかはわからないが、ジャンガリアンハムスターの寿命は約2年
父親が会社の人に亡くなった事を伝えたら
「まだ生きてたんですか!?」と言われたらしいから奴は長生きさんだったと思う
別れは小学校6年生の俺には理解が難しかった
巣から出して、いつもみたいに遊んでくれると思いながら体を触ると酷く冷たいし、鼓動も弱弱しい
本来冬眠ってそういうモノだけど、この時ナニかが違うと俺は思った
先ず瞳、可愛らしいつぶらな目は何処か曖昧で少し曇ってるように見えた
口も髭もいつもならせかせか動いて忙しないのに動かない
何故かは分からないが、俺は咄嗟に温めなきゃ!と思った
このまま寝かせたら死んじゃう、と無理矢理起こしたのは奴にとって苦痛でなければ良いなと今更になって思う
兎に角俺は温めるのに必死で、最初は手で包み、それでも俺の手よりもずっと冷たいままだから今度はタオル越しにホカロンを当てた
やがて奴は息を吹き返す
いつもの目と忙しない髭を見せながらこちらを見てくる
「なんだよ、せっかく気持ちよく寝てるのに起こすなよ」と言った風に見えた俺は安心した
次にヒマワリの種を差し出す
お腹空いてるだろうから食べてくれると思った
でも奴は食わなかった
…こちらをしっかり覗きこんで暫くした後、ゆっくりと静かに奴は寝た
後にロベを埋葬するとき母親は
「ロベは最後の挨拶をしてくれたんだね、偉い子だね」
と言った
死を理解出来ず、いつもの冬眠だと思ってた俺はロベを埋めながらその言葉の意味を瞬時に理解し泣いた
ロベが越せなかった冬とその次の春はとても静かなモノとなった
小学校6年生の作文ではロベの出会いから別れまでを書いた
担任の先生から
「このお話、とても悲しいけれど凄く良いお話だから学校の広報(?)に載せても良いかしら?でも貴女が辛くなるなら載せないわ」
俺は迷わず、載せてほしいと頼んだ
作文の最後は「ありがとうね。ロベ。」と締めた俺の本心を皆に伝えたかったし、何よりロベという可愛い小さな命を迎えて本当に幸せだったんだと広めたかったから
奴との想い出は沢山
それこそ語りきれない程にある
この小さな大切な命と想い出はずっと俺の中に居続ける
想い出と共に俺は生き続ける
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