ショートショート

松本秀喜

卒業


 「なあ」

部活動の帰り道、お前がそう言ってアレコレ愚痴披露大会が始まったよな。

 「俺たち、卒業したらどこ行くんだろうな。」

その日は、先輩が辞めて俺たちが部活を引っ張っていくような、そういう代変わりが起きた9月だったよな。

 「さあな。」

そう言って、俺はあの時答えから逃げてた。


 クラスの、意識高いいわゆる勉強できる系は行きたい大学に向けて勉強してて、俺らはそんなアイツらの事を、何処か気が早いなあとか思ってたけ。でも、実際アイツらはあの時期から勉強してたから行けたんだと思うよ。

 「お前はさ、何処か行きたいとか、なりたいとかあるの?」

多分、お前はそんな奴らを見て焦っていたんだよな。だから、多分どうせコイツは無いだろうなって思って俺にそう聞いたんだろ。わかるよ。お前はいつもそういう奴だから。

 「俺は無いよ。お前は?」

 「俺も」

そう言って、サッカー部のバカ2人は笑い合ってたけ。


 年が明けて、そろそろ3年になるって頃に、また部活があったよな。そうそう、始業式が始まるちょっと前ぐらいに。

 「なあ、やっぱりお前って進路決めてたり?」

 「何回も言わせないでよ。俺は決めてない。」

 やっぱり不安だったんだろうな、お前は。多分どっかの、受験に関する動画とか見て、普通はこの時期から勉強するって見ちゃったんだろうな。だから、もしかしてアイツはって、不安になってたんだろうな。わかってたよ、第一声が「良かったあ」だったから、バレバレだったよ。

でも、そっから俺とお前は疎遠になったっけ。


うん、わかってるよ。浪人してるんだろ。うん、応援してるよ。でも、こう言う思い出を振り返るのもたまにはいいよな。

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