競技かるたの伝統校・陪膳浜高校を舞台に、一度は競技を辞めた主人公・秋平の再起を描く。近江神宮や読み上げ機「ありあけ」といった実在の要素に加え、級位制や試合中の細かな駆け引きなどの専門描写が極めて本格的だ。観察眼の鋭い長身の先輩や毒舌な低身長の先輩など、少数精鋭の部員たちの造形も際立つ。畳を叩く音の迫力と、ブランクに苦しむ繊細な心理描写が同居する硬派なスポーツドラマである。競技かるたに関心がある者や、王道の青春スポーツ小説、挫折からの復活劇を好む読者におすすめできる。