第4話

「ずっとお前のこと見てた。お前にふさわしい男になりたくて仕事も頑張って来たんだ。なのに、知らない間にほかの男とつきあってたなんて、俺は間抜けすぎる」

「なに言ってんの」

 驚いて彼を見ると、彼の甘い笑顔があった。


「やっとこっち見た」

「な、なに言ってんのよ」

 私はまた目をそらす。


「ちゃんと見て、聞いて」

 彼の手が私の頬に添えられて、彼の方を見させられる。

「俺はお前が好きだ。順番が違っちゃったけど、俺と付き合って」


「……本気?」

「本気」

 真面目な顔だったが、その目には依然として甘さが漂っている。


「だけど……」

「気が合うし、体の相性も抜群だったじゃん。迷う必要なくない?」

「そういうこと言わないで!」

 顔を伏せると、彼はくすくすと笑って私の髪を撫でる。


「お前の恥ずかしがるところ、かわいすぎ。朝ごはんがわりに頂こうかな」

「な、なにを言うのよ!」

 彼の胸をぎゅっと押して距離を取ろうとするが、ぐいっと抱き寄せられ、密着させられる。肌と肌が触れ合って、私はどきどきした。


「昨日はオッケーだったんだから、お前もオッケーしてくれると思ってた」

 残念そうな彼の声に、私は申し訳なくなる。

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