カラフルパレット〜斉木光の人間観察推理
@pumota
第1話 雨の中の君
その日は雨が酷かった。
まるでお盆をひっくり返したような雨だった。
「早く帰ろ」
私はその日急いで家に帰っていた。
今日の晩御飯当番が私の番だからだ。
お母さんは仕事で忙しい。そのためお母さんの負担を減らすために当番制にしている。
そのため急いで帰っていた。
そうして家の近くにある公園を通り過ぎようかとしていると偶然その人は目に入った。
「あれは佐藤君?」
その姿は見覚えがあった。クラスメイトで学校では有名なイケメンの
佐藤君は傘もささずに一人そこに立っていた。
その姿はなんとなく見ていられなかった。
私はどうにかして勇気を振り絞り声をかける。
「どうしたの?」
「一人にしてくれ・・・・・・」
「でも、風邪ひくから」
「それでも構わない・・・・・・」
そう言って聞く耳を持ってくれない。
「なら、これだけでも持ってて」
そう言って傘を強引に渡す。
「聞いてなかった?」
「聞いてたけど、私が気になるから」
「・・・・・・」
佐藤君は何も言わなかった。
「じゃあね」
そうして私は急いで帰った。
翌朝。
私はいつものように起きて制服に着替えて鏡の前で髪を結ぶ。
そして自分の顔を鏡で見てげんなりする。
私は自分のことが嫌いだ。
美人でもなく可愛くもなく愛嬌があるわけでもない顔。
人より不器用で人より何事も効率が悪い。
何をやってもやりがいや楽しさを感じることもなく、熱中できることもない。
それは色のない世界みたいだ。
だけど、時間は進んでいく。
無慈悲だと思う。
「今日もなんとかなる」
そう、自分に言い聞かすようにして学校へ向かう。
教室に入ってすぐ自分の席に向かう。
なぜなら私は友達がいないからだ。
別に嫌われているわけではないけど、私といると足を引っ張ったりして迷惑をかけるから自分から避けている。
そうしていつものように寝たふりをしていると誰かが肩を叩く。
顔を上げると佐藤君が目の前にいた。
私は驚いて声が出なかった。
「これ」
そう言って昨日私が渡した傘を返してくる。
「え、別にいいのに」
私はもう捨てたつもりになっていたので帰ってきたのは意外だった。
「よくないだろ」
「なんで?」
「これお気に入りのやつじゃないのか?」
そう、この傘は去年たまたま見つけて買った内心お気に入りの傘だった。
「なんで分かったの?」
「どうでもいいものには名前は書かない」
「あ」
そうなのだ。学校で間違えて取られないように取っ手の部分に小さく名前を書いておいたのである。
まるで小学生みたいで少し恥ずかしかった。
「ありがと」
私は素直に礼を言う。
「いや、こっちこそ助かった」
そう言って佐藤君は去って行った。
そのあとクラスは少し騒がしかった。
おそらくなんの接点もなくてぼっちの私に佐藤君が声をかけていたから目立っていたのだろう。
それを気にすることなく私は目を閉じて寝たふりを続行した。
放課後、私は今日は当番ではなかったのでゆっくり帰っていた。
そして公園に差し掛かった時人影に気づいた。
公園の前で佐藤君が立っていたのだった。
私を見つけるとゆっくりこちらに向かって歩いてきた。
「うす」
「どうしたの?」
「実は相談に乗ってほしいだ」
意外な返答に私は固まる。
「私でいいの?役に立たないと思うんだけど?」
「誰にも相談できない・・・・・でも、
「なんで?」
単純な疑問だった。
私と佐藤君は接点がない。
「あの日、他の人は俺を見ないふりをしてた。けど斉木はしなかった。だからかな」
「そんなこと?」
「そんなことじゃないんだ俺にとっては」
真剣な眼差しで言う佐藤君。
私はそれに応えたいと思った。
「分かった。私でよければ相談に乗るよ」
「ありがと!」
そうしてまるで花が咲いたように笑う彼だった。
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