第5話

白虎の騎士ヴィラン-5


「ミレリア、お前は俺のモノだ!!!お前のすべてを奪って破壊してやる!お前のすべてを踏みにじってやる!」

この世のものとは思えない、オルドロスの巨大な罵声が戦場に轟いた。

ヴィランは眉をひそめ、内心で呟いた。


ハァ、何言ってんだコイツ…不愉快だ。


ヴィランは、城壁からミレリアを探す。おそらく目視のために、前線に出られているはずだ。お守りしなければ。

ミレリアは、少し離れた城壁に立っていた。まだ、魔力操作を止めていない。おそらく次弾があるだろう。


オルドロスの魔法弾を防いだ水柱は、そのまま上空に上がり、巨大なレンズへと姿を変えた。そのレンズは辺り一帯の太陽光を収束し、一筋の太い光線を作り出す。その光線がオルドロスを天空から襲った。


「ウゴォォォォォォォォォォ!!!」

膨大な熱量の前に、さしものオルドロスも悲鳴を上げた。

「余裕こいて、べらべら話しているからそうなるんだよ、バーカ」

思わず罵倒が口からはみ出した、その時だった。


オルドロスは高熱に耐えながも、両足に力を込め、一瞬で加速した。まるで自身が矢になったかのように、こちらに突っ込んでくる。

ヴィランも一瞬で加速して、ミレリアの元に飛んだ。

ドラゴンから人型に戻ったオルドロスは、ミレリアにめがけて巨大な剣を振り下ろした。

ミレリアは眉ひとつ動かさない。オルドロスの剣はミレリアには届かない。

「なんだテメーは」

「下郎が…頭が高い」

ギリギリ間に合ったヴィランは、自身の剣でオルドロスのそれを受け止める。

ここで戦うのはまずい。ヴィランは剣を捨てオルドロスに体当たりをすると、そのまま一緒に城壁の下まで落下した。


もみくちゃになったヴィランとオルドロスは、転がりながら、自分に有利となる体勢を模索する。ここは覚悟を決めていたヴィランに軍配が上がった。

馬乗りになったヴィランは、近くにあったゴーレムの残骸を手に取ると、それをそのままオルドロスの顔に叩きつけた。こういうやつには、こういったのが一番いい。

オルドロスは苦痛に耐えながら、腰を持ち上げてヴィランの体勢を崩すと、尻尾だけを竜に戻して、ヴィランを後方から突き崩した。

オルドロスがうめき声をあげながら立ち上がる。ヴィランもすぐさま立ち上がった。

オルドロスが楽しそうに言う。

「やるなテメー。俺の名はオルドロス。貴様の名前を教えろ!何という!?」

ヴィランも楽しそうに、言う。

「ヴィラン」


ミレリアの前から巨大な飛竜が飛び立った。この戦場から立ち去るようだ。ミレリアが飛び立つ飛竜を、その目で追う。オルドロスぐらい大きいが、オルドロスではない。

「ヴォルスでしょうね。帝国最高戦力のミレリア様がいらっしゃるので、今回攻めるのは無駄だと思ったのでしょう。アイツは頭がいい」

近くの兵士が説明した。

ミレリアは不思議なものを見るような目で、小さく消えるヴォルスを見つめ続けた。

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