第3話

「ひとつ聞きたいのですが」

「今は忙しい、手短にせよ」

デスクに積み重なった管理施設の月間報告資料たちに、

目線を固定したまま悪魔は話を聞く。

「人間のだしはいったいどこに供給されているのでしょうか」

だしの行先か、どこに売っているのか聞きたいのか

どちらを問うているのか知らないが…

「知らないくてもいいことがこの世にはいくつかある

それは知らなくてもいいことのひとつだ」

そう、知らなくてもいいことはいくつかある。

例えば、漫画やアニメだ。

なんだ、あの面白い娯楽は。

仕事が山積みになっているというのに、不思議な引力で引き寄せてきて

仕事がまるで手につかない

今は月末だから、

各施設管理者たちからの報告、来月の方針、

地獄の方への定期報告をしなければならぬというのに、

このままでは時間が全く足りん。

人間どもがあの素晴らしい娯楽を作っているというのか

尊敬することしかでき…

いや、人間の作る娯楽ごときを

尊敬するなどということはないに決まって…いる


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る