読み始めてすぐ、人と情景がしっかり浮かびました。地の文の表現も過度ではなく、すっと読み手である私の中に入ってきて、とても読みやすかったです。
叫び声や極端なセリフ、慟哭のような極端な感情を露わにした地の文が無いのに、登場人物の温度もしっかり伝わってきました。
お話は一方向で、ひねりがあるわけではありませんでしたが、もとよりそういう類の作品です。
一本道を、読み手が余所見をせずに楽しむことができた作品です。
本当に唯一あるとすれば、一度だけ、立ち止まりかけたところがあります。
私自身が春翔を想像した際に、中学生位をイメージしてしまったので、最後で読む目が引っかかりました。
冒頭付近に、春翔の年齢に関する記載(二歳年下の妹、とか)があれば、何一つ雑念を感じることなく読み切っていました。
長編小説の、妹との懐かしいエピソードの綺麗な一編。
そんな作品でした。