第13話 王太子の後悔と焦り

 王城の執務室は、薄暗かった。

 窓の外では、結界のひび割れから漏れる魔力の光が、不気味に空を染めている。


 レオンハルトは机に両手をつき、深く息を吐いた。


「……なぜ……こうなった……」


 あの日――

 リリアを“偽聖女”と断じた日のことが、頭から離れない。


 彼女の震える声。

 必死に否定する瞳。


(……聞くべきだった……)


 老宰相が、低い声で言った。


「……陛下。セレフィナ様の祈りが……もはや……結界を……」


「わかっている!」


 レオンハルトは、思わず声を荒げた。


「……だが……セレフィナを切れば……民は……」


「……それでも……国は……」


 重い沈黙が落ちる。


「……リリアだ……」


 レオンハルトは、歯を噛みしめる。


「……彼女しか……この国を……」


「……魔王が……」


「……承知の上だ」


 彼の瞳に、焦燥と後悔が渦巻く。


「……あの少女は……俺が……壊した……」


 だが、それでも――


「……だからこそ……俺の手で……取り戻す……」


 それが、彼の贖罪であり、

 同時に、もう一度“間違える”予兆だった

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