“才能に呑まれていく怖さ”&“誰かを想う優しさ”。
その二つが静かに胸へ刺さる。
特に、男主人公が絵の世界へ没頭するほど、現実から離れていく描写がとてもリアルです。
「好きなことに夢中になる幸福」と、「大切な人を置き去りにしてしまう危うさ」が同時に描かれていて、読んでいて切なくなりました。
そして、彼を想う女子高生の存在が本当に良いです。
怒りながらも放っておけず、壊れそうな空を必死に現実へ繋ぎ止めようとする姿が健気。
二人の距離感に強く心を揺さぶられました。
それに、台詞のひとつひとつが、とても印象的です。
“才能”と“青春”が繊細に絡み合う、不器用で美しい物語です。