第6話「努力」
イズナとマシロがヒビキに近づく。
イズナ「はい、お疲れー。」
マシロ「1日目も終わったことですし、
今日は引き上げますか?」
ヒビキ「いえ、ちょっとここに残って
練習しようと思ってます。」
イズナ・マシロ「えっ……」(汗くさいよ)
ヒビキ「ああ!風呂は入ります!
だから、もう少し
ここで練習させてください!」
イズナ「それなら好きにすれば?」
マシロ「私達は引き上げますからね。」
──2日目・10時──
キリヤ「二日目、始めるぞ!」
ヒビキ「……」
ザッ!
ヒビキが急にダッシュしてキリヤへ迫る。
キリヤ「!」
寸前でヒビキを避けるキリヤ。
ヒビキはピタッと止まり、しばらく動かない。
そして、また急にダッシュ。
再び寸前で避けるキリヤ。
キリヤ(フェイントをかけてきた……?
そして気づいたか。
スーツ相手に闇雲に追い回しても、
無駄に体力を
消耗するだけだということを……)
──2日目・18時──
ヒビキ「はあ……はあ……!」
キリヤ「昨日よりは動きが良くなったが、
まだまだだな。
じゃあ俺は引き上げるぜ。」
キリヤは去っていく。
ヒビキはトレーニングルームで大の字に倒れ込んだ。
右手を額に当て、苦しげに息を吐く。
ヒビキ「ダメだ……!このままじゃ……
あと1日しかない……!」
イズナ「……。」
遠くから見ていたイズナが近づき、ヒビキを見下ろす。
イズナ「……もう諦めたら?
あいつの着てるスーツは——」
ヒビキ「知ってます。」
イズナ「!」
ヒビキ「知った上で、真正面から
攻略したいんだ。
でも……何か作戦を考えないと……
このままじゃ、
このままじゃダメだ!」
ヒビキは起き上がり、イズナに向き直る。
ヒビキ「今日はここに残って作戦を考えます。
マシロさんとイズナさんは先に戻ってください。」
マシロ「いいですけど〜、1つだけ条件が
あります。お風呂は——」
ヒビキ「あー!入ります!入ります!」
──3日目・10時──
キリヤ「テスト最終日だ。
今日の18時までに
俺にタッチできなければ、
お前は不合格とみなすぜ。」
ヒビキはダッシュ。
キリヤは避ける。
しかしヒビキは続けて追う。
キリヤ(なんだ……
1日目と同じ動きに戻ったぞ?
追い回すのは無駄だと
学習したんじゃなかったのか?
まあいい。俺は時間終了まで
逃げ続けるだけだ。
いいか……お前みたいな奴は
今までたくさん見てきた。)
──キリヤの回想──
新人①「この組織に入って
人々を守りたいです!」
→ 新人①「アビスがこんなに
恐ろしいなんて……辞めます……」
新人②「この組織に入って
人々を助けたいです!」
→ 同僚「あいつ、死ぬ直前まで、
この組織に入ったこと
後悔してたぜ……」
──回想終わり──
キリヤ(どいつもこいつも口だけ。
気軽に入って、ろくな努力もせず、
辞めたり、死んだりした奴
ばっかりだった。
そいつらとお前の違いはどこにある?
それを俺に見せてみろよ……!)
──3日目・17時58分──
ヒビキは大の字で倒れていた。
ヒビキ「はあ……はあ……」
キリヤ「1日目とまるで同じじゃないか。
つまらん。」
キリヤは遠くのイズナとマシロに声をかける。
キリヤ「そろそろ18時か……。」
ヒビキ「……。」
キリヤ「おーい、残り時間
あとどれくらいだ?」
キリヤがヒビキから目を離した——その瞬間。
ヒビキは飛び起きた。
同時に、左足を大きく振り上げ、
脱ぎかけていた靴をキリヤの顔めがけて放った。
そして自分はキリヤの右側へダッシュ。
キリヤは左を向いていたが、横目で靴を確認し、
避けるために後ろへ飛んだ。
ヒビキ「当然そっちに避けますよね……
そして、この時を待っていた!」
後ろへ飛んだキリヤと、右へ走ったヒビキの軌道が交差する。
ヒビキ「タッチ!」
ヒビキの指先が、キリヤの体に触れた。
イズナ「はい、終了〜。18時よ。」
キリヤは呆然と立ち尽くす。
ふとヒビキの左足を見ると——
裸足の足は、皮がめくれ、血がにじみ、ボロボロだった。
ヒビキ「はあ……はあ……やった……!
一晩練習した成果が出たぞ……!」
キリヤ(ま、まさか……こいつ……
一晩中、この練習だけを
していたのか……!?)
キリヤは背を向け、低く言った。
キリヤ「……お前、
確かヒビキって名前だったよな?」
ヒビキ「え?ええ。」
キリヤは振り返り、真正面から告げる。
キリヤ「ヒビキ——合格だ。」
煽り:努力、それは成功への架け橋。
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