第2話「説得」
長髪の男に斬られた怪物は、煙のように溶けて消えた。
その中心から、紫色に光るオーブがぽとりと海へ落ちる。
長髪の男「目撃者か。
面倒なことになったな。
……おい、マシロ、回収。」
男が後ろに目をやると、同じく黒いスーツを着てゴーグルをつけた女性が立っていた。
マシロ「はいよ!」
マシロは海に落ちたオーブを拾い上げ、ゴーグル越しにじっくり観察する。
マシロ「アビスエネルギー……5。」
長髪の男「5か。ハズレだな。」
長髪の男は振り向き、そのまま立ち去ろうとする。
ヒビキ「ま、待ってくれ!
さっきの化け物に……
彼女が連れ去られたんだ!」
ヒビキの叫びにも、長髪の男は無言で歩き続ける。
ヒビキは走って長髪の男の前に回り込み、そのまま地面に膝をついた。
ヒビキ「お願いだ!助けてくれ!
たった一人の幼馴染なんだ!」
長髪の男は下を向きながらしばらく沈黙し、低く答えた。
長髪の男「無理だ。
アビスに連れ去られた人間は……
もう助けられない。」
ヒビキは顔を上げ、必死に問い詰める。
ヒビキ「アビス!?
アビスって今の化け物のことか!?
あんた達、あの化け物について
何か知ってるんだろ!」
長髪の男「……お前には関係のないことだ。」
再び立ち去ろうとする男。
ガシッ。
ヒビキは男の足を掴んだ。
ヒビキ「待てよ!助けてくれって、
こんなに頼んでるだろ!
助けてくれるって言うまで……
絶対この手を離さないぞ!」
長髪の男「……ちっ。
やはり面倒なことになったな。」
男はマシロのほうを見る。
マシロ「しょうがないですね。
ここは人目につきますし……
本部に連れ帰って説明しましょう。」
マシロはゴーグルを上げ、ヒビキの前に屈みこむ。
マシロ「でもね。説明を聞いて
“無理”だってわかったら……
おとなしく諦めてくださいね。」
マシロは柔らかく微笑んだ。
長髪の男はため息をつき、言う。
長髪の男「……こいつを諦めさせるには、
それしかなさそうだな。
今の化け物について
説明してやる。ついてこい。」
ヒビキは掴んでいた手を離し、小さくうなずいた。
二人の後をついて歩くと、
さきほどの浜から少し離れた岩場に、巨大な潜水艦が停泊していた。
ヒビキ「潜水艦!?なんで岩場に……!?
あんた達、まさかこれに
乗って来たのか!?」
長髪の男「他に何がある?黙って乗りな。」
三人は潜水艦へ乗り込む。
ヒビキは決意の表情を浮かべた。
ヒビキ(待っていろ、ミオ。
この人達から手掛かりを聞いたら……
必ず助けに行くからな。)
煽り:三人が向かう先とは…。
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