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別にブラック企業という訳ではなく、仕事は好きだが、如何せんほぼ全てのところが曖昧の為、私の胃は限界を迎える事が多々ある。
――この資料全部見て。
――え、何処を見るんですか?
――だから全部だって。
複数のPDFに別れているが、合算すると総頁数900にも及ぶ資料にすべてめを通す事はまずもって不可能。とどのつまり、上司が割を食わない様に効率よく見ろ。答えろ。それ以外は認めない。という事である。
だが2年か3年も経てば、まぁまぁ自分の中の解釈に落とし込む事が出来た。それでも高精度かつ見栄えを良く仕事を行なうには、半日で終わる仕事を3日掛けてやらねばならないのだが。
いまの私の顔、一気に10歳ぐらいは老けている様に思える。何時以下なる時だって、上は理想しか見ず、割を食うのは下々の物だと言うことを忘れては行けない。
「瑠衣たん。最近の私、息する様に暴言吐いてない? 大丈夫? 『あの上司、頭の中お話畑だから、現実一切見てないの』だとか『自分の気に入った答えしか受け入れないの。気に入らないと八つ当たりするの。本当ガキ』とか、『ざまぁ系では数千のデータを合計から確認して、ほぼ精確に打ち込む私がいなければ、彼奴ら困るだろうな』とか」
「今言ってるな」
鏡花という生き物は、普段はかなり人懐っこい。元々鏡花はこの世界を渡り歩く為の防御策として、数多の人格を携えており、人間関係を円滑に回す為に表に出て来やすいのである。
が、一度逆鱗に触れたり、ゾーンに入ると、其れが一変する。子犬の様な振る舞いが一気なりを潜め、獰猛な狼へと変貌する。論理の破綻を見抜いては必要に刺して来るし、感情論は通じない。ある意味で最も厄介な一面がある。
まぁそうなると此方も其れになりに手を焼いて抑え込むのに苦労するので、最初から釘を打って置くことににした。
「これでも食ってろ」
俺は近くにあった球体のチョコ菓子の包み紙を破ると、そのまま鏡花の口へと突っ込んだ。大人しく食している。
「結局その場限りで未来を見据えてないの。周りを巻き込むだけ巻き込んで、自分だけ気持ちよくなってる。コンカフェやキャバクラ行って欲しいよ」
だがどうやら加速をする事に決めたらしい。
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