一九五四年以来、怪獣災害が日常となった世界で、人類が巨大な脅威に立ち向かう物語です。
とにかく伝わってくるのは、怪獣特撮への熱量!
怪獣が街を蹂躙する迫力、基地内の緊迫感、出撃シークエンス、巨大兵器の変形や発進、そして怪獣との激突。
読んでいると、頭の中で自然に特撮映像へ変換されていきます。
ただ派手なだけではなく、怪獣災害が人々の日常をどう変えてしまったのかも丁寧に描かれていて、世界観に重みがあります。
それでも、絶望の中で誰かを守ろうとする人間たちの姿が熱い。
怪獣もの、特撮ものが好きな方に『特に』おすすめしたい作品です。
この先、ゼージスがどんな戦いを見せてくれるのか楽しみです!
まず初めに私はゴジラの顔写真を見ればどの映画に出てきたゴジラか判別できる程度の特撮好きです。
そんな特撮好きに刺さりに刺さって刺さりまくるのがこの小説。
この小説が特撮としてどれだけ優れているかというのはほかの人も書かれているのでもう私からは特に言及しませんが、これだけは忘れないで!
もしかしたら、万が一にも、最近の一人称小説主流の世の中でキャラの心理描写が云々とか言う人いるかもしれないけど、怪獣映画の主役は怪獣だから!
次はどんな怪獣が出てくるんだろう?
その怪獣は何をして、どうやってやられるんだろう?
そういうのをワクワクしながら読み進める、それがこの怪獣映画小説の醍醐味なんですよ!
(もちろん人間ドラマの書きっぷりも最高なんだけど)
本当は怪獣に興味のない方にも読んでもらいたい。
だがこの怪獣映画をそのまま文章にした画期的な小説はこのまま突き進んでほしいです!
正直に告白します。この作品を読み始めて最初の数話、率直に言うと、戦闘描写で今どんな絵が展開されているのか、正確に掴みきれない瞬間が何度もありました。専門用語や必殺技の密度が高く、動きの流れよりも、その情報量の洪水にまず圧倒される、という読み方になりました。
でも、読み進めるうちに気づいたんです。これは特撮なんだ、と。
ウルトラマンや仮面ライダーが、CGではなく着ぐるみとミニチュアで作られてきた歴史そのものが、技術的な制約の中で、それでも本気で怪獣と戦っているという、作り手の情熱を輝かせてきました。この作品の戦闘描写も、“読者が完璧に状況を把握できるかどうか”より、“とにかくとんでもないことが起きている”という熱狂を伝えることを、無意識か意識的か、優先しているように感じました。読みやすさという物差しだけでこの作品を測るのは、たぶんフェアではありません。
8話は、その中でも特に読み応えがありました。ジャイアントスイングからの黄金の変化、エネルギー切れからの絶望、名もなき青年の特攻という土壇場の逆転。そして最後、「また、あたしを悲しませるの? 竜君」の一言で、英雄の正体が明かされる場面。市民の熱狂の裏で、実は自分の命を削って戦っていたという事実が、静かに突きつけられる、良い着地でした。
竜と薫の掛け合いも良いです。世界の存亡がかかった緊急事態の中で交わされる、たわいない軽口。この余裕こそが、二人の絆の深さと、それぞれの覚悟の示し方を物語っていました。
227話という規模、そして数多くの応援コメントが、この作品の熱量が、確かに読者に届いている証拠だと思います。読みやすさを整えることも大事ですが、それ以上に、“好きだから書いている”という熱量そのものが、これほどまっすぐに伝わってくる作品には、なかなか出会えません。何かを好きになること、好きでいることって、本当にいいものですね。
子どものころ、朝のヒーローものを楽しみにしていたことを思い出しました。
人間世界に混じり込んだ怪獣と戦い、そして最後は巨大なロボットが必殺技で敵を滅ぼす。
この作品はそれを想起させると同時に、さらに深く内部を掘り進んだものとなっております。
テレビで見るものは良いところを選んで見せておりますが、実際のヒーローだって苦悩し、傷付き、疲れている。
そして、それは街の人も同じです。
いつ怪獣に襲われるかわからない恐怖。
それに加えて、自分を助けてくれるヒーロー側も、戦闘の最中には自分を傷つけるモノになるかもしれない。
子どものころには想像していなかった部分を見せてくれるこの作品は、大人だからこそ楽しめる怪獣ものなんでしょう。
これからどう進んでいくのか、非常に楽しみです。
「二〇二四年、東京は消滅した」という冒頭の一文だけで、この作品が背負う世界の重さが伝わってくる。一九五四年以来人類を脅かし続ける怪獣という設定に、円谷プロ的な特撮の文法を文章で再現しようとする試みが、レビューで繰り返し評されている通り見事に結実している。
戦闘シーンの煽り構図、火花散るコックピット、活動限界のあるロボット——文字でしか伝えられないはずの「特撮の質感」を、読者の脳内で映像に変換させる筆力がこの作品の核だと思う。一方で、かつての親友を失った青年という個人的な喪失の物語が、巨大な怪獣災害というスケールの裏にしっかり根を張っている点も好印象だ。レビューで触れられている「正義の奴隷でいい」という諦念めいた自己暗示が、序章として静かに配置されているのも巧い。
特撮ファンの心をど真ん中から撃ち抜く、という評の通り、ジャンルへの深い愛と知識に裏打ちされた重厚な一作だと思う。
第一話の冒頭から世界観の重量が伝わってくる。
1954年以来70年以上、怪獣が人類を脅かし続けている世界で、17歳の少年・一条竜が毎朝悪夢の脂汗を拭って起き、白の隊服を着て窓を開けると「巨大なトーチカと空の戦闘機」が当たり前の日常として広がっている——このたった数行の情景描写で、この世界の歪さが鮮明に伝わってくる。
冒頭の夢パートが味わい深い。「正義のために戦う」のに「全ては滅んだ」という矛盾、そして「正義の奴隷で良い」という自己暗示のような諦め——これが序章として静かに配置されているのが巧い。後の展開への布石として機能していそうだ。
主人公が額縁の中の両親(十年前を夢に見るという表現で死んでいることが示唆される)に向けて「笑顔が似合う世界にしてみせる」と誓う場面は、特撮の王道を踏まえながらも、夢パートの「奴隷」という言葉と並ぶことで単純な熱血ではない重みを感じさせた。しっかりとした世界観の上に立つ重厚な怪獣特撮小説だ。