そして、天下人。そう呼ばれた織田信長がまだ若く幼い頃の、ある日の話。華々しい活躍の描写はなく、泥臭い戦もない。ただ、彼は幼くして利発だった。織田信長を一人の少年として描いた、日常のほんの一幕。戦国物に多い堅い空気もなく、時代物の知識がなくとも非常に読みやすい一話完結の物語です。
堅苦しさよりも人物の息遣いが伝わってくる一編。会話の運びも軽妙。沢彦や秀政とのやり取りには思わず頬が緩む。歴史上の人物を神格化するのではなく、一人の少年として生き生きと描いた点が魅力。この先の成長をもっと見届けたくなる作品。