雨の日のパン

一色 サラ

・・・・

  外は雨、人の出入りは少ない。今日の売り上げは少ないだろう。店に置いてるパンたちは買ってくれる人はいるのだろうかと心配になってしまう。

 陽茉理ひまりは、カウンターから雨が降っている外をじっと眺めていた。何も変わらない時間が過ぎている。客足が滞って、もの静けさが店内を包んでいる。

ビーンと自動ドアが開いて、1人の男性が入ってきた。傘を笠置に入れて、お盆とトングを持って、陽茉理いる方へとやってきた。

「ここのパンで一番甘いのはどのパンですか?」

「カスタード入りのクリームパンですかね」

陽茉理は迷いながらも、自分の中で甘いと思えるパンと答えた。たぶん、チョコが入ってるパンの方が甘かったかもしれないが、陽茉理にとってこの店で、一番の売りにしているクリームパンを答えてしまった。

「そうですか。他には」

「カウンター横にある棚のチョコ入りのパンも甘くて美味しいですよ」

「じゃあ、その2つにしようかな」

 男性はクリームパンとチョコ入りのパンを2つずつトングでお盆に乗せて、レジへと持ってきた。少し甘い物を4つも食べるだと思ったが、陽茉理はパンを1つずつ袋に入れて、レジ袋へと詰めた。

 「ありがとう、雨の日に甘いパンが食べたくなるんだよね」

男性はそのレジ袋を嬉しそうにつかんで、店を出て行った。外を見ると、雨は止んでいた。

 陽茉理にとって、雨の日には塩分の多いパンが食べたくなるな。と思った。

 

 

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