第2話 2019年4月12日(金)
やっと金曜日だ。おそらく人生史上最も嬉しい金曜日だ。
この1週間は本当に辛かった。社会人がこんなに辛いのかそもそもこの会社が辛いのか。
まず、我々新卒に課せられる最初のミッションが、テレアポだ。1時間に20件、つまり3分に1本電話をかけろという指令。これを8時間。つまり1日160件。
この架電数は毎日ランキングとして社内に貼り出され、ノルマ未達者は夕礼で晒し上げ+社訓3回大声読み上げの罰ゲームがつく(ちなみに僕は今週だけで15回読み上げた)。
そして何より面倒なのが日報だ。この日報については分単位でどんな業務を行なったか記載しなければならない。少しでも曖昧な点があると翌朝上長から「この時間は何をしていたのか。この5分の間でこの程度の仕事しかしてないのか」と詰められる。極端な話、トイレの時間すら記載が必要なのだ。あまりにもムカついたので「トイレ(大・キレ悪め):5分」「トイレ(小・少なめ):2分」と詳細に書いてやったら次の日呼び出しを喰らった。解せぬ。
ただ同じような事を考えたやつがもう1人いたらしく、その日の呼び出しは僕とそいつの2人だった。そいつは肥後といい、同期だが年齢は僕の一個上。お世辞にも頭がいいとは言えない大学の出身だ。しかも留年までしてるらしい。シャツは皺だらけでネクタイにはカレーのシミのようなものがついている。ワックスやジェルで髪をセットしてるわけでもないのに髪型が2ブロックなのでパイナップルのような頭になっている。そのくせ体だけはやたらデカい。同期とはいえなるべくお近づきにはなりたくないものだ。
そんな中でも1週間を乗り越えられたのはやはり東雲さんの存在が大きいだろう。東雲さんとは映画やドラマの趣味が本当に合うし、話しているだけでかなり元気をもらえた。
どちらも同じ借り上げ社宅に住んでいるので帰る方向が同じでほぼ毎日一緒に帰った。
いつか一緒に映画を観に行けたらどれだけ幸せだろうか...。
当てがあるわけでもないのにさっきまで近くの映画館の上映スケジュールを調べていた。
今週の日曜日に新宿ピカデリーでバックトゥーザフューチャーのリバイバル上映が実施されるしい。
東雲さんと映画に行く妄想を膨らませながら僕はそのまま眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます