ダイフクの世界

俺は猫だ。

ここの家の女に貰われて、いつも『ダイフク』なんて言われているから、俺はダイフクなのだろう。


――――――


俺は、昔の記憶が曖昧でな。

覚えているのは確か、ダンボールの中に毛布だけ敷かれて、寒い冬をブルブル震えながら過ごしてた事かな。

んである日、青い帽子と服の野郎に連れてかれて、そこのかわい子ちゃんの隣の檻に入れられたってワケ。

女が来た日、コイツが連れていかれそうになったから、ニャアニャア鳴いて抵抗してやった。

そしたらなんと、俺も一緒に連れてってくれたってもんよ。

このチビたちは、俺とコイツの子だ。

三匹とも色違いで、見てて飽きないだろう?


――――――


⋯⋯てか、今日もここの女はお出かけか。

最近、やたらと綺麗な服を着て楽しそうに出ていくが、一体何をしに行っているのやら。

⋯⋯俺は外がトラウマだから、ここでグータラしてるのが好きだけどな。

ここのメシは美味いし、ダラダラし放題だから、こんなに太っちまったんだよ!

ママに愛想つかれたらどうしようかっていつも若干心配なんだが、痩せるつもりは毛頭ない!

そんな面倒なのゴメンだね!


――――――

⋯⋯相変わらず、アイツはソファーの上で遊ぶのが好きなんだな。

この前、ソファーで爪とぎをして、帰ってきた女に首根っこ掴まれてたのは誰だったのか。

俺は面倒事は嫌いだから、ちゃんと用意された爪とぎ場でするぞ?

あっ、黒いチビも俺の真似をしようとしてるな。

随分と可愛いヤツだ。

おや?三匹ともにゃあにゃあ鳴いてやがる。

仕事の時間だぞ⋯⋯って思ったらやって来たな、さすがはママだ。

みんな仲良くミルクを飲んでる――と思ったら、白いのと黒いのケンカしてるし。

ったく、姉妹なんだから少しは仲良くしろっての⋯⋯

ちょっ!?なんで俺殴られてるんだっ!?

何にも悪いことしてないのに!

⋯⋯まあいいや、俺はしばらく寝ていようかな、いい天気でポカポカしてるし⋯⋯


――――――


――あだっ!?誰だ、俺の腹に突撃してきたヤツはっ!

⋯⋯なんだ、茶色のチビか。

ママは何をやってるんだ⋯⋯って、寝てるし。

しょうがない、コイツを咥えて戻してやるか。

首根っこ咥えられてるのに喜んでやがる、可愛いヤツめ。

よしよし、ママの隣でゆっくり寝てな。

二度と起こすんじゃねぇぞ?


――――――


――あっ、なんかよく分からないけど美味い『アレ』の匂いがするな⋯⋯

って、あの女いつの間に帰ってきてたんだ?

⋯⋯俺、夜まで眠っちまってたのか。

まあ、ありがたく貰っておこう。

それにしても、アイツのベッドは大人気で羨ましいな⋯⋯

よし、こっそり入っちまうか。

じゃ、おやすみな。

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