日常の風景がふとした瞬間に剥がれ落ち、自らが創り出したはずの魔術的実体に脅かされる緊張感。タロットの「愚者」を思わせる異形の造形と、それに対峙する主人公の孤独な「魔術」の行使に、静かな狂気と知性を感じました。見慣れた日常の中に、質量を持たない「実体」が確実に存在する不気味さの描写が秀逸です。