天気買いますか?

京極道真  

第1話 神様のダイに人事異動が届く

僕は西の静かな町の大きなしめ縄のある神社で縁結びの神様として12年勤務してきた。

「今日は暑いな。」

8月の地上は真夏の太陽に照らされて暑すぎる。

縁結び。人間達は良縁を求めてこの暑さの中、僕の神社に良縁を求めて祈願に来る。

みんな汗がだらだら。

神殿から見ても祈願人達がかわいそうだ。

しかし、みんな、欲深い。

中には友達の彼氏を。彼女を自分のものにと

ずうずうしい祈願もあるが、

みんな酷暑の中、大変だ。

中にはもちろん純粋に「神様、いいご縁がありますようにと。」少し控えめの祈願もある。

それらの祈願をパズルのように引き合わせる

仕事が神様の僕の仕事だ。

体力と言うより結構、頭を使う。

もちろんたまにパズルが外れることもあるが。

大半の人間達は謙虚で可愛いものだ。

しかし、恋愛でうまくいかないと誰かのせいにしたくなるようだ。

大半は自分が悪いのかと可愛げがあるが、

たまに逆恨みで神社の神様。

そう、我々のせいにする人間もいる。

そしてまさに今。

「神様のばか。ケイゴとラブラブになれなかった。告白して失敗。神様のせいよ。

千円返して。お賽銭。か・え・し・て!」

神殿前で赤毛の髪の少し可愛い子が騒いでいる。

彼女は確か・・・2週間前に来た子だ。

確か、絵馬も書いていた。

どれどれ僕は神殿の鏡でのぞいた。

「何々。彼女の名前は花咲ゆり『ケイゴと両想いに慣れますように。』か。

しかしこのケイゴが軽薄で残念な男だったから縁は結ばなかったんだが。

しかしあんなに大騒ぎするくらい好きだったってことか。これまた事実だ。

しかし、そうは言っても神様に逆恨みはよくないな。花咲ゆり。

たまったもんじゃない。

「はあー。」大きなため息が出る。

その時

「チリン。」鈴の音が鳴る。

天界の大神様からの手紙だ。「異動命令。」

天界の神様の総務部からだ。

僕ら神様はたまに異動を。

転勤を繰り返している。

もちろんそれぞれの得意分野はあるものの。

天界の大神様の考えだと

それぞれの神様は万能でないと、

いけないらしい。

もちろん僕自身、万能の神を目指している。

神も地上の人間同様、若い時には転勤族的な

異動で経験を積むようだ。

「しかし、本当に今日は暑いな。」

まわりの神の巫女たちも

「神様ダイ。本当に今日は暑いです。雨でも降ってくれればいいんですが。

神様ダイ。雨を降らせることはできないんですか?」

「残念だができないな。今は縁結びの神様だからな。」

「そうですか。」と巫女たちは長い袴に長い髪を扇子で仰ぎ神殿内を歩き回っている。

そうして僕は冷たい床にゴロン。

神様としてはお行儀が悪いが

僕は床に寝そべった。

木の床が冷たくて気持ちよかった。

僕は天界の総務部からの異動命令を開いた。『神様ダイ。

天気の管制塔勤務へ異動を命ずる。』

「雲の上。天気の管制塔勤務。」

次の瞬間。僕は念じた。

「雨よ降れ。」

ザーっと激しい雨が天から降りだした。

境内には静寂が。

境内前の花咲ゆりは、ずぶぬれ。

ただ彼女の顔はさっきよりすっきり見えた。

そして僕は雲の上の天気の管制塔勤務へと

異動した。

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