白樺

槿七樺

第1話 友人

数回しか話したこともないのに突然呼び出され、厄介事に巻き込まれないように心の中で祈りながら彼女の言葉を待っていた


「私、恋愛対象が女の子なの」


興味もない秘密を軽口しく話し始めた彼女の声色は覚えていないが、私のことを隼のように鋭い眼光で睨みつけていたことだけは覚えている

刹那、太陽のように眩しいあの子のことを思い出した

青空に輝く太陽のそばに寄り添い一緒に喜ぶ白い雲も、抱きしめて一緒に泣く黒い雲も、前に立って代わりに怒る大きな雲もどうやら彼女にとっては許せない存在だったらしい

私でさえも魅力という熱に常に焼かれ続けていたというのに、太陽から少し離れた隙に見えた輝きに少し目が眩んでしまった鳥は、ほんの僅かに見える光以外何も見えなくなっていた

彼女のようにあの子のことが特別好きというわけではなかった

近くにいたから、ただそれだけ

なのに、あの子のことを何も知らないでー本当に何も知らなかったかもしれないがー悠々と謳う小鳥の囀りが私にとって煩くて、五月蝿くて仕方がなかった

同じに見えたところで、太陽にだって誰にも見せない裏側だってあるっていうのに、それを羽根虫が偉そうに話すなんて許せない

羽根虫如きが輝く太陽の近くに近付こうとしたから

だから私は


私は怒りで彼女の話などに一つも耳を貸すことがなかったため、彼女が最後まで何を話していたか記憶に残っていないが、赤く染まった教室に取り残された私だけを夕日が見てくれなかったことだけは鮮明に覚えている

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白樺 槿七樺 @Mukuge_0826

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