桜の木の下
けんじくん
エピローグ
「大人になったら、またこの桜の木の下で会おうね」
二人の幼い誓いだった、中学に上がる頃、京都を離れ俺は長野に越してきた。
桜が綺麗な街に取り残されたさきちゃんが心残りだ。
「毎年満開になったら二人で決めたこの木の写真を手紙と一緒に送るね!そしたら、アキくんも寂しないやろ?
アキくん戻ってくるまでにどんくらい大きくなるやろか。」
「その頃には俺の方がデカくなるで」
「ほんま?!これよりデカなったらすんごいなぁ」
「まあ、たのしみにしとけや」
「ふふ。うん!楽しみにしとるわ!」
「おう」
「......じゃ、またな」
「うん。またね,,,!」
別れ際までさきちゃんは笑顔でいてくれた。
桜の花びらが舞っていた、彼女の微笑みは天使の羽ばたきのようにまばゆい光となって花びらの間をくぐり抜け、僕は見惚れていた、このまま二人しかいないところに連れて行って欲しかった、そうなればどんなにいいことだろう。
ここにずっといたくなってしまうから逃げるようにそそくさと車に乗り込んだ、エンジンがかかり、タイヤがサスファルとを踏みつける音がして、俺は涙が堪えきれなくなっていた。
バックミラーには彼女がおおげさに手を振り続ける姿が胡麻粒ほど小さくなるまで写っていた。
本当は俺もリアウィンドウから手を振ってあげたかったけど、涙と鼻水と涎でもんじゃ焼きみたいになったかっこ悪い顔をさきちゃんに見られたくなくて変に意地をはってしまった。
さきちゃんの姿が見えなくなってしまった。
桜の木の下 けんじくん @kengikun
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