今日も、明日もいい天気
仁志隆生
いい天気だけど
「いい天気、だけど……」
少女、
「……外へ出たいなあ、でも」
晴美は病室のベッドの上にいた。
「治らないんだよね……お母さんと先生が話してるの、聞いたし」
余命一年って先生、なんとかならないのですか!?
申し訳ございません、今の医学ではよくて延命することしか。
そんな、あの子はまだ十歳なのに……。
「……もう一度、外に出たいなあ」
「その願い、叶えてあげよっか?」
「え?」
いつの間にかいたのは、全身真っ黒で背中に蝙蝠の羽を持った子供(?)だった。
「えっと、誰?」
「オイラは悪魔だよ」
彼はあっけらかんとそう言うと、
「そうなんだ。可愛い」
晴美も怖がりもせずに言う。
「はは、ありがと。そんでさ、外出たいんだよね?」
悪魔が言うと、
「うん。けどわたし病気だし」
「だからそれ治してあげるよ」
「え、ほんと?」
「うん。そうすればいっぱい遊べるようになるよ」
「あ。思い出したけど、悪魔さんってたしか三つ願い叶えてくれるけど代わりに命寄越せだよね?」
晴美が額に指を当てて言った。
「知ってたんだ、うんそうだよ。それでどうする?」
悪魔が尋ねる。
「……えと、ほんとかどうか分からないから、試しに一つお願いしていい?」
「いいよ。それで何してほしい?」
「雪を降らせて」
「うん。お安い御用だよ。ほい」
窓の外を見ると、さっきまで晴天だったのが猛吹雪になっていた。
「これで信じてくれる?」
悪魔が笑みを浮かべて言うと、
「うん! じゃあ、病気治して!」
晴美は身を乗り出して言った。
「分かったよ、ほい」
悪魔が晴美の額に手を当てると、
「あ、体が軽くなった!」
晴美はベッドから出て立ち上がり、確かめるように手足を動かした。
「よかった。それであと一つはどうする?」
悪魔がまた尋ねる。
「え? あ、えっと」
「後ででもいいよ。思いついたら心の中でオイラを呼んで」
「うん。ありがとう悪魔さん」
「いえいえ。あ、誰か来るからオイラ帰るね」
悪魔の姿が消えたと同時に、医師と看護師が入ってきた。
二人は晴美を見て驚き、担ぐように診察室へ連れて行った。
そして、ちょうど来た母親と一緒に結果を聞くと、
「信じられないですが、病巣が無くなっています」
「え、じゃあ?」
「もう少し検査してみないとですが、これなら退院できます」
「よ、よかった……ううう」
母親は泣き出した。
そして、退院の日。
「いいお天気」
晴美は満面の笑みを浮かべて空を見上げた。
「……あと一つ、叶えなかったらいいのかな?」
晴美は病気が治ったのもあり、もっと生きたいと思うようになった。
その後、晴美はそれまでの遅れを取り戻すかのように遊んだり、勉強にも励み。
中学、高校、大学と時は流れ……。
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