1月の第2月曜日

楼きがり

昇華

一生に一度の、この日。


人生の華が鮮やかに彩る、この日。


大人の階段をがむしゃらに、けれども粛々と昇る卵たちが集う、この日。


昨日も、今日も、そして明日も。

世界は太陽と月が回るだけの地続きなのに。


見送る母の目には潤いが。

ハンドルを握る父の手には震えが。


私は、何者になったのだろう。


異国のような白い宮殿から、あの日々の思い出が聞こえる。

造られた温かい空間の中で、あの頃の面影を探すのだけれど。


同じ歌を口ずさんだあの子も。

小さな小指を結んだあの子も。

一緒にスイカを食べたあの子も。


毎日、毎時間、毎分、毎秒。

上書き保存を繰り返した成れの果てだけが、

知らない声で私を呼ぶ。


この子たちは、何者になったのだろう。


真っ白な布の上には、色鮮やかなオードブルと黒く光る酒瓶の山。


無駄に整った空間で。

着慣れない衣を身にまとい。

不味い酒を強がって飲み。

身に余る未来を語る未熟な卵たちを。


かつての恩師は「対等」だと言う。


恩師は「大人」で、私たちも「大人」。

私たちは、晴れて「成人」になったのだ。



ああ、私は。


私たちは。


なんて、つまらない者になってしまったのだろう。

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1月の第2月曜日 楼きがり @takadono-Kigali

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