あなたへ。

名前

あなたへ。

私は意気地なしです。

あなたと話すのに一年。二人で会うのに二年。恋人になるまで三年。そして、気持ちを伝えようとするのに四年もかかりました。

そんな私の気持ちを見てください。


あなたと出会ったのは、大学1年生の春でした。

あなたを見ると、自然と時計を見る時間が減りました。

しかし、接点はこれと言ってなく、ただ、横目で眺めることしかできませんでした。


そして、知り合いにあなたの名前が増えることはなく、あっという間に、あなたの肌も見えなくなりました。

ある日、いつものように大学に向かっている時のことでした。

誰かが、男3人に囲まれているのを見ました。

私はすぐにその場を離れようとしました。

しかし、それがあなただとわかりました。

あなたの声がいつもと違い震えてました。

私はその時、体が勝手にそばに落ちている石を拾い、次の瞬間には、男が声をあげていました。


そして、あなたと目があった瞬間、私は知らない道を走り抜けました。


走っている途中、何度もあなたの顔が浮かびました。

息が苦しくなり、気がつくと川辺に来ていました。

私は河原に寝転び、空を見上げました。


そこに浮かぶ雲も、あなたに見えてしまって仕方ありませんでした。


私は、すぐに立ち上がり、大学まで走り抜けました。


私は講義室に入り、隅で丸くなっていました。

すると、聞き覚えのある声が聞こえてきました。

恐る恐る顔を上げると、あなたがいました。


たぶん、あなたが私に何か話しかけてくれました。

でも、あなたは少し驚いた顔をしてました。

私はすぐに視線を下に落としました。


すると、視線の先に私の財布を出してきました。


「これ、ある場所にあったんだよね」


私はあなたの顔を見れませんでした。


「ありがとう」


なぜか、次の瞬間あなたと目が合ってました。

今度は、少しだけ長く。



それからというもの、あなたと目が合う時間が次第に伸びていきました。


「ねぇ、連絡先交換しない?」


困ったことに、時計を見る時間が増えました。


「ねぇ、今度どこかに行かない?」


慣れない服を着ました。


私の時間があなたによって、脈を刻み始めました。


あなたの誕生日が近づいてきました。

私はプレゼントを探しました。

なにせ、慣れていないもので、開店から閉店まで徘徊し、店員に不審者だと疑われました。


私は着慣れないスーツを引っ張り出し、鏡の前に立ちました。

そこには、馬子にも衣装ではなく、豚に真珠の言葉がピッタリの私がいました。


当日、私はプランを全て頭に入れ、鬼に金棒の気でいました。


ーーあの3人組に会うまでは。

私は突然男3人に囲まれ、裏路地に移動させられました。

私が言葉を発する前に、顔が地面と接していました。

どうにかして、逃げようと、地面を踏み締めようとしましたが、力が入りませんでした。

全身が泥だらけになり、不釣り合いのプレゼントだけが目立っていました。

「お?これはなんだ」

男が血のついた汚い手でプレゼントを触ろうとしてきました。

この時、人生で出したこと無いほどの大きな声が出ました。

男は驚いたのか、私の体を蹴ってきました。

私は安堵しました。

これだけは、これだけは、汚したらダメだ。

汚いプレゼントはあなたには似合わない。

私は、地面に身を丸くし、歯を食いしばり、ただ耐えました。


その時、「だ、大丈夫?」

私が聞きたくなかった声が聞こえました。


男たちは走ってどこかに消えてきたました。


「あの男たちにやられたの?」

あなたが心配してくれてるのはわかります。


「怪我とかない?」

ただ、あなたにはみられたくなかった。


「大丈夫だからね?」

今日、今日だけは。


「服こんなに汚れちゃって」

私に似合わないよね。


「土がついちゃって」

私にピッタリだ。


「大丈夫、大丈夫だから」

私は視線の中にあなたが私のために膝を折って、その白い服が土で汚れたのが見えた。


私が近寄るべきではなかった。

身の丈を知るべきだったんだ。

私はプレゼントを握りしめ、あなたの前から消えてなくなりたかった。


それから、連絡先を見ることはなくなりました。

二度とこんな気分を味わいたくない。

二度と慣れることがない味がしました。

しかし、完璧には避けることはできませんでした。

「なんで私をそんなに避けるの!?何か言ってくれないとわからないよ!!」

あなたはまるで子供を叱りつけるかのように言ってきました。

私は、あなたの隣に立ちたかった。

あなたと同じ景色を見たかった。

だけど、その資格は無いとわかってしまった。

ただ、それだけのことが、どうしても言葉に出来なかった。

しかし、どうしてか、本心で無いことが口から先に溢れ出しました。

そして、言った後に気づいたのです。

あなたの表情が、私の避けたかった未来であることを。


それからというもの、人づてにあなたが、今、前のように過ごしていると聞きました。

私は、まだ前を向けずにいます。

本当に私は碌でもない人間です。

私はまだ、過去に縋り、あなたと同じものを見たいと望んでます。

でも、あなたの返事はいりません。

だから、せめて、この思いだけは伝えないといけないと思いました。

あなたは二文字あればこの気持ちを伝えれるけど、私は十万文字があってもどうにも伝えることができません。

では、前置きがすごく長くなってしまったので、そろそろ駄文をくくります。

愛しています。

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