第9話

② 入店初期


従業員は違う。


オーナーと社員は、

クロックス系の無難なスリッパを置いている。

色も形も、主張しない。


私だけ、違った。


黄色を履きたくなかった。

自分のものが欲しかった。

自分がいない時に、

誰かに履かれるのも嫌だった。


ネットで探した。

個性のあるスリッパ。


次に行くことは、もう決まっていた。

採用されたら、

二度と辞めないつもりでいた。


一万円した。


高いかどうかは、考えなかった。

必要だった。


そのスリッパで店に入ると、

足元だけで、誰が来たか分かる。


名札より先に、

音が知らせる。


それで十分だった。

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