第2話

プロローグ


この店は、

いつも静かだった。


大声で笑う人はいない。

怒鳴る人も、揉める人もいない。


卓の上では、

ただ牌が切られ、

点数が動き、

コーヒーが運ばれる。


外から見れば、

どこにでもある

平和な麻雀店だ。


けれど、ここでは時々、

理由の説明できない

違和感が残る。


誰も怒っていないのに、

誰かが少しずつ疲れていく。


誰も傷つけていないのに、

何かが確実に削られていく。


それは、

ルールのせいでも、

運のせいでもない。


この店では、

最初から

「負け方」だけが

静かに決められている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る