「『近未来バトルアクション』ですか……」
@AIokita
エピソード 終章:戦いの終わり
『高層タワーの最上階、そこに管理者マドゥグウェルがいた。俺は自動扉を開けて中へと移動ホバーを滑らせる。部屋の中央にはマドグウェルが浮かばせた玉座に腰かけていた。
「ようこそアダム。君がここまで来るとは思っていなかったよ……」
そう言った奴の顔は俺への素直な感心と、皮肉が滲み出ていた。奴にしてみればすべてを管理したはずの組織で、俺のようにたてつく人間が出てくるとは思っていなかったのだろう。そう、管理者にとって想定外のことほど嫌なものはない。だが、これは俺自身の自由のための戦いだった。
「マドゥグエウェル、お前の期待に沿えなくて申し訳ないが死んでもらう」
俺は言い切った。覚悟はとうにできている。
「…そうか、残念だよ」
それは相手も同じだった。お互いに戦闘モードへと切り替わっていく。次の瞬間、室内には無数のレーザーが飛び交い、俺はホバーの自動制御によってそれをかわす。避けきれない部分を防御シールドが自動的にカバーし、肉体へのダメージを最小限化する。
AIによる自動照準のレーザー武器はもやは相手を視認する必要すらない。相手の座標や熱感知によって位置を把握して自動で撃ちまくる。俺もマドゥグウェルも自動操縦のホバーやポッドにしがみついていた。』
「先生、これダサくないですか?」
「何が、未来のバトルシーンを想定してリアルに書き込んだつもりだよ?」
「でも全部自動操縦に自動照準で、キャラクター達は何もしてないじゃないですか」
「だってもう未来の戦いは人体の限界なんて超えてるんだから、人間じゃどうしようもないよ」
「そうだとしてもこれじゃエンターテイメントになってない、ウチじゃ売り物にできませんよ」
「ボツってこと?」
「はい」
「じゃあ、どうしろって言うのさ」
「もっとこう、人間同士のバトルに持ち込んでくださいよ。機械が壊れたとか何とか」
「近未来バトルアクションなのに殴り合いで勝負しろっていうのか」
「そのほうが盛り上がりますって!」
「100年前の西部劇じゃないんだから!なんでわざわざ近代兵器を捨てて原始レベルの戦いをさせなきゃならないのさ。未来武器による、人間の限界を超えたところでの決着!これは譲れないよ」
「まぁ、そこをどうするかはアイデア次第ですし、読者はそこに興味や関心を抱くものですけどね。でも、求められているのはリアルさじゃなくてエンタメですよ、エンタメ」
「なんかこう、技術進歩とか無視してエンタメに寄せるっていうか、読者側に寄せるっていうのは歪んでるんじゃないか?」
「大丈夫、もう充分に歪んでますよ。歪み過ぎて、歪んだほうに現実を合わせるくらいには」
「それでいいのか?」
「人類史上で見たらよくないですし、指摘する人間も何世紀も前からいる。それでも変わらないし、求められてもいない」
「じゃあ、俺の原稿も変更は余儀なしってこと?」
「たぶんね」
「はぁ〰」
「このへんにして今日は終わりましょう。飯でも行きましょうよ。話ながら、未来武器でどう人間臭く決着させるか考えましょう」
「このへんの店ってもうだいたい行ったんだよな」
「牛丼屋の新メニュー気になってるんですけどどうです」
「あー、あのCMやってるやつか。確かに気になるな」
「そういって先生、前も結局普通の牛丼食べてませんでしたっけ」
「いや、なんか冒険より安定を選びがちで」
「未来武器みたいに牛丼も挑戦したらいいじゃないですか、今まさに読者の心を代弁してましたよ」
「『近未来バトルアクション』ですか……」 @AIokita
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