局部の学校物語

ちんちん小学校のお正月は冬休み!

 ちーんコーンかーんコーン。


 早朝の澄みきった空にチャイムの音が響き渡る。

 ちんちん小学校の今年の正月は来年より早い。


「いっけね! 遅刻遅刻ゥー!」


 ちんちん小学校卒業生の皮余俊介は、冬休み中かつ正月の誰もいない通学路で、お年玉ァ! と叫びながら全裸でスクワット。付属品もぶらんぶらんしていた。


「兄貴ィー、兄貴大変だー!」


 足に限界がきた俊介が冷たい地面に倒れていると、舎弟のサブと呼ばれる小柄な少年が駆け寄ってくる。


「縮れ毛先輩が雑煮の餅に絡まれて重症だそうです!」

「なんだって……許せねえ、許せねえよ! おいサブ、ブ、ブ、ぶえくしょーん」


 体温の低下に伴い身体の機能も低下した俊介は、風邪の初期症状を示しはじめていた。


「縮れ毛先輩の、ぶえくしょーい! 仇を、ゴホッ、ゲホッ、なんか寒いぞ!」

「わかりました! あったかいものを持ってきますね!」


 そう言ってサブと呼ばれる少年は走り去った。

 その場に残された俊介は、生まれたままの姿で大地に横たわり体を丸めて細かく震えている。

 中天を目指す太陽を灰色の雲が覆い、白い欠片が舞うように降りてきた。

 全体的に青ざめた俊介の耳に、どこからか少年の声が聞こえてくる。


「ちんちん教会のちんさんを連れてきました!」


 サブと呼ばれる少年のそばには、蜃気楼のような熱を発する何かがいた。

 2メートル近い長身、鍛え上げられた筋肉をまとい、浅黒い肌がでなんらかの油分で鈍く光っている。

 文明への反抗か、隠蔽への抵抗か、衣服を着てなくて素っ裸。

 体毛はすべて処理済みでツルツル。

 その男は口から威容を感じさせる低音を発した。


「咎人はどこだ……」

「こっちですちんさん!」


 男は少年の導きに従い、通学路でガタガタ震えている全裸の俊介の元にやってきた。


「天下の往来で露出とは……なんと罪深い」


 一糸まとわぬ男は祈るように首を垂れる。


「その罪……我らの神は祝福なさるだろう……なぜなら……!」


 男の目が見開かれ、周囲の温度が少し上がったような雰囲気になった。


「大事なところを隠さない……法的には罪だが我らの教えでは祝福されるべきものだからだ……!」


 まったく隠してない男は、地面でガタガタ震えている俊介に手を伸ばす。


「さあ、ともに我らの教えを広げようではないか!」


 とりあえずあったかそうなので手を伸ばした俊介と、男の手ががっちりと握り合う。

 神の教えのもと手を取り合った二人の元に、白黒でカラーリングされた神輿が囃子のようなサイレンとめでたそうな赤い光とともにやってきて、二人を乗せたあと最寄りの警察署に旅立つのであった。

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局部の学校物語 @marucyst

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