静かで重くて、でも確かに「温度」のある、とても印象的なお話でした。
まず冒頭の陰鬱な街の描写が強いですね。
人々の目に光がない、流通が死んでいる、魔獣が跋扈する世界――
派手な説明をせずとも、この世界が「終わりかけている」ことが自然に伝わってきます。転生ものなのにワクワクよりも先に不安が来る導入が、とても好みでした。
主人公ジンも良いです。
チートを手に入れた英雄ではなく、「止血しかできない治癒魔法」という絶妙に地味で、それでも確実に価値のある能力。
この世界では“それだけで人が救える”という設定が説得力を持っていて、
「俺が来てから死亡率が下がった」という一文が、さりげなく主人公の存在意義を示していて好きでした。
そして何より、少女とのやり取りがとても丁寧で優しい。
長々とすみません