再びあの水平線へ(Setting Sun, Rising Hope)

@tsuyotsuyoman

第1話

風を味方にして、大海原に小さなヨットを走らせる。

それが子供の頃からの夢だった。

だからスクールにも通い練習に励んだ。

しかし就職とともに訪れた仕事に忙殺される毎日は、

いつしか私の夢を遠い記憶の彼方へと追いやってしまった。


定年と言う現実を目前にしたある日、私は古い日記帳を見つけた。

そこには、あの頃の練習に明け暮れた日々が踊っていた。

潮の香り、眩しい夕日、果てしなく続く大海原。

蘇ったあの時の記憶は、自然と私をあの港にいざなった。


何十年ぶりに訪れた港の景色は昔のままだった。

遠くの帆船に目を凝らす。

一瞬、幻ではないかと目を疑った。

そこには私が初めて操舵した、あの練習船が係留されていた。

まるで、ずっと前から、そうあの時から、

私を待っていたかの様に。


桟橋に立つ私の身体を、心地よい潮風がすり抜けて行く。

心の羅針盤がカチリと音をたてて動き出した。

よし、あの時の夢を探しに行こう。

再びあの水平線の向こうに。


Setting Sun, Rising Hope

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