時計と時間

@Terarium

時計と時間

教室に入って席に着き、いつものように筆箱から腕時計を取り出すと、それは壊れていて、8時20分11秒を指してピクリとも動かなくなっていた。仕方がないので動かない腕時計を机上に出したまま授業を受けていたのだが、ある時、ふと壊れているのも忘れて腕時計の方を見遣ると、尋常ならざる事態が起こっていた。

腕時計が8時20分11秒を指していたのである。

私は愕然とした。その瞬間から世界には時間というものは存在しなくなっていた。

私は何度も、何度も腕時計を見てみたが、その秒針は北極星の如く静止し、永遠のクロノスタシスを作り出していた。

それからは、最早私は授業など聞かず、妙な一体感に包まれ恍惚としながら腕時計を眺めていた。小さな円形硝子の中から、永遠が覗いていた...

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