スライム生活は予想以上に大変!

緑の雪だるま

第1話 転生

 俺の名前は、薩来夢(すらいむ)。会社にこき使われている、悲しい社会人だ。


 俺は今、出張から帰るところで、新幹線に乗って少し休憩している。


 窓を見ると、会社から退勤している人がいて、「そんな生活がしたかったな」と思いながら、ぼんやりと外を眺めていた。


 俺はなぜか、過労死するはずの労働時間でも過労死しない体質で、そんな体質に少し苦痛を覚えていた。


 会社でこき使われ、休日がほぼないのに、生きている意味がないと毎日思っている。


 そんなことを考えながら窓を見ていると、目的の駅にたどり着いた。


 会社に戻ったら、出張の出来事をまとめて提出しなければならない。今日も残業確定だ、と思いながら歩いていると、急に眠気が襲ってきた。


 気がついたら、真っ白で明るい場所で目が覚めた。


 ここはどこなのか、全く分からず困惑していると、後ろから足音がするのを感じた。振り向くと、羽衣を身にまとった、なんとも美しい女性が歩いてきた。


 俺はその女性に、「ここはどこでしょうか?」と聞いた。


 すると女性は、「ここは天国と地獄の間にある空間よ」と言った。


 天国でもなく、地獄でもない――ということは、何が起こるのか分からなかった。


 というか、まず女性がいること自体が理解できなかった。


「なぜ、あなたはここにいるのですか?」と聞くと、


「私はこの空間の女神。あなたみたいに死んだ人を、異世界に転生させる仕事をしているの」


「あなたは過労で気を失って、階段で頭から落ちて亡くなったみたい」


 さっきから情報量が多すぎる。


「簡単にまとめてくれませんか?」と頼むと、要するにこういうことらしい。


 俺は階段から落ちて死に、天国と地獄の間の空間に魂が移動し、目の前の女神様に異世界転生させられるところだ。


「あなたは仕事ばかりの人生で、さぞかし大変だったでしょう。だから、少し楽しい異世界に転生させてあげますね!」


 そう言われて、俺はホッとした。しかし、転生先の姿は女神様が決めるらしい。


 俺は無理かもしれないと思いつつも、「人間にしてください」と言った。


 すると女神様は、


「あなたの名前は薩来夢すらいむ。ということは、あなたをスライムにしましょう」


 そう言って俺をスライムにした後、異世界に転生させる魔法陣が現れた。


 俺は慌てて、「人間にできないんですか?」と何度も叫んだが、俺の声は聞こえないらしい。


「行ってらっしゃい」


 そう言われ、俺は異世界へ転生したのであった。

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