セイブ・ザ・キャットに縛られるな!
雨宮 徹
セイブ・ザ・キャットに縛られるな!
皆さんは『セイブ・ザ・キャット』を読んだことはありますか? 私はありません。しかし、その理論自体は知っています。主人公が冒頭で猫を救い、共感を得る。脚本術として普遍的ではありますが、それがゆえに、最大公約数になっています。つまり、『セイブ・ザ・キャット』に従って書けるのは、「爆死しない作品」です。裏を返せば、「読者を揺さぶる作品」にはなりえません。
それでも、支持されているからには理由があるはずです。それは、「『セイブ・ザ・キャット』を周りの人が読んでいるから、自分も読まなくては」という強迫観念です。自らの創作に役立つかは置いておき、ひとまず読もう。そんな気分になっていませんか。
『セイブ・ザ・キャット』は、一種の航海図です。創作する者が迷わないための。航海図であるからには、正しくなくてはいけません。しかし、真に心を揺さぶる小説を書くには、航海図に頼ってはなりません。「ムー大陸が載っている航海図」の方が役に立ちます。つまり、他人とは違う視点あるいは考えを持っているからです。
特に日本では『セイブ・ザ・キャット』がもてはやされています。これは、日本の悪い文化である「出る杭は打たれる」の逆です。「読まない杭は打たれる」。でも、待ってください。『セイブ・ザ・キャット』を読めば名作を書けるわけではありません。「最低限の質を保証する書き方」が分かるだけです。これは「起承転結」がわかっていれば十分かと思います。
『セイブ・ザ・キャット』は今のネット小説文化には馴染みません。つまり、ネット小説は更新型であり、一話完結を基本とする『セイブ・ザ・キャット』とは相性が悪いのです。ですから、『セイブ・ザ・キャット』を読むならば、あくまでも読み物と割り切るのが良いかと思います。「こういう考え方もあるのね」くらいに。すべてを吸収しようとすると、あなたの感性が死にます。「爆死しない作品」という没個性的なものを書くために、個性を殺す必要はありません。
繰り返しになりますが、理論は知っていれば問題ありません。熟読する・しないは関係ありません。今一度、『セイブ・ザ・キャット』を含めた脚本術との向き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。猫を救う暇があるなら、自分の衝動を救え。正しい航海図を破り捨てた先にしか、あなたの「ムー大陸」は存在しないのだから。
セイブ・ザ・キャットに縛られるな! 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993
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