「未来が見える」というだけではなく、
一度シミュレーションした明日を、現実でもう一度なぞる。
この設定がすごく面白かったです。
最初は会話を先回りできることも、失敗を避けられることも楽しい。
でも、みんなが明日を知るようになると、
「昨日もう言ったから」と雑談が省略され、
笑うことも泣くことも、少しずつ既視感に変わっていく。
特に好きだったのが、主人公がピートを使い忘れた一日です。
それまで薄くなっていた世界に、
音や光や不安が一気に戻ってくる。
何が起きるか分からない怖さと、
何が起きるか分からないからこそ生きている感覚が、
同時に描かれているのが印象的でした。
そして最後に「明日やばい日」というタイトルが、
まったく別の重さで返ってくる。
短い中で、便利さが少しずつ不気味さへ変わっていくSFでした。
色々と考えさせられる作品でした。
明日、死ぬのが分かったら、色々と準備が出来るので良い事のような気もするが。
かえって、絶望して命を絶つ人もいるかもしれない。
明日、起こる事が分かってしまったら、未知の感動はないし、
例えば、一昨日までの北海道旅行の感動とかなかっただろうと思う。
トイレにリュックを忘れて目的地に着いて、20分ぐらいかけて駅に
ひやひやしながら引っ返すとか。
小樽の券売機の横にお土産忘れて、札幌で気づくとかのトラブルは
無かったかもしれない。
ただ、それだと駅の人の親切とか、小樽や札幌の人の対応の良さを
知ることは無かった訳で。
実に面白い作品でした。