メアちゃんは眠らせたい

やよゆ

やっぱココアって美味しい

 「は、はじめて、人間ってこんなに……」

 夜も夜の深夜二時をぐらいだろうか、蒼黒の長い髪を揺らしながら、小柄な少女が僕の上に馬乗りになっている。

 こんな経験、初めてだ。


 髪の隙間から、ちらりと覗く肌は病的なほど白い。

 そのくせ頬だけが、リンゴみたいに赤い。

 淡い水色の目が、じっと僕を見ている。

 時より淡い水色の目がじっと僕を覗いてくる、まるで夏のエメラルドビーチを彷彿としてる、その目を一度見てしまうと僕の目を奪い続ける。

 なんて綺麗な目をしているんだ、そんな風に思いながらも現状を確認しようと思う。


 「あの、ごめんなさい、何をしているんですか?」


 じゃあまずことの始まりを説明しよう、いやこういうのってどこから説明した方がいいんだろうか、とりあえず名前とか?

 僕の名前は朝倉日向、かっこいい男子高校一年生だ、あとは何を話すべきか、とりあえず時系列順に朝……はまあいいか。

 それじゃあ学校から帰ってきて着替えなやらなんやらしてから一人歌を歌いながら晩御飯を作るさっき着けたばかりのテレビに耳を傾ける。

 『恐怖!初夏の怪異特集!』

 まて、今はまだ6月、夏を少し先取りしすぎでは、そもそも怪異特集ってなんだ、コア過ぎやしないか?

 そう思いながらもご飯をテーブルへと運び、食べる準備をし、晩御飯を口に運びながらテレビをボーッと見ている。

 『ーインキュバスやサキュバス、これらは人間から性を吸収し生きていくのです』

 『サキュバスってあれでしょ、エッチなやつ、やはー俺も吸われたいねー』

 有名なお笑いタレントさんが笑いながら話し突っ込みを入れられる、場は大盛り上がり、流石にバラエティと言えど低俗すぎる。

 ゴールデンタイムだぞ今、もしパパママが居てという状態だったら確実に静まり返ってるぞ。

 それと同時にいや僕だって吸われたい、これでもまだバリバリ健全な高校生だ。

 『ーとは言いますが』司会者がやばいと思ったのか話の道筋を変えようとする。

 いいぞ、頑張れ、司会者君なら出来る。

 『インキュバスやサキュバスは人の夢に出てきて性……いえ生気を吸い取ります』

 おい司会者、君も先程のお笑いタレントと方向的に同じじゃないか、字幕もあるからセーフであろうでも。

 しかし隣の女のナレーターさんがすごく赤面しているぞ、流石にアウトじゃないか?。

 『ーこれらは元々古い民間伝承から発展していき今となってはこのような扱いになってしまったのです』

 いいぞ司会者、ちょっと方向性を戻してきた。

 とはいえ長々テレビもみていても仕方がない。

 ご飯を早々と平らげ、テレビを消す、明日も学校だ。

 また変にからかわれるんだろうな、と憂鬱になりながらもシャワーを浴びる。

 シャワー……まあ語ることはないだろう。

 歌を歌いながら熱々なシャワーを浴びる、それだけのこと。

 最初に洗うところでも説明した方がいいのだろうか?とはいえ別に興味ないだろ?

 髪を乾かしつつ、体を拭き、歯を磨く、なんと器用なんだろうか?いや実際は人間には腕は2本しか生えていない。

 つまりは、実は僕はあんまり器用でないということ。

 「んーそろそろ寝るかー」誰かに語りかける様に大きく独り言を呟きながらベッドへとなだれ込み、そうして僕は寝たのだ。


 次の日の朝日を拝めます様に、緩いささやかな願いだ、まあ知っての通りその願いは破られたわけだが。


 その時系列を経て、今に至るわけだ、ふと違和感を感じ起きたらかわいい女の子が馬乗りになっている、意味がわからない。

 「ふぇっ!?」唐突な驚き、驚きたいのはこちらだっていうのに、馬乗りだった体制から転げ落ちていく。

 そのままベッドの下へと倒れ込む、ごつんと鈍い音とウッと軽い悲鳴を立てる、これは頭いったんだろうな、可哀想に。

 「な……な、なんで、喋れてるんです……?」頭をさすりながらぺたんと座り込んだまま疑問そうに僕のことを見つめてくる。

 そこからは先程の綺麗な目が……見えない、流石に髪長すぎないか?そっちからは見えてるのだろうか?

 「そりゃ喋れるよ、一応日本語だし……」

 「じゃあこっちから質問、君は何?ってか誰?何をしてるの?」

 次々と言葉を投げ掛ける、今の僕の頭は疑問と疑問と疑問で頭が一杯だ、あと少し興奮。

 それはそうだ、かわいい女の子が、しかもよく見るとワンピース一枚とわりと薄着だ、……夏はまだ早くないか?

 『夏は早い』ーそういえばこの文言、さっきの番組で聞いたな。

 困惑しているからか、それともエッチなことを思ったからか僕の考えは猛スピードで回る。

 「もしかしてだけど」不安なのか少女は腕を握る、自分は心が踊る。

 「君ってサキュバ」「違う」即答だった、せめて全文言わせてくれ。

 そうだ一旦落ち着こう、サキュバスではないらしいではなんだ、心霊的なあれか?いやけどさっき馬乗りになってきてたし……。

 「君はなんな」「……イ、メア」聞き取れないぐらいの小声だがまた被せてきた。

 「ナイトメア、です、私」顔はうまく見えないが申し訳なさそう?に彼女は小さな声で説明を続ける。

 「一旦落ち着こう」そうだ、サキュバスではないらしい(サキュバスであってほしかった)ではなんだ、心霊的なあれか?

 顔はうまく見えないが申し訳なさそう?に彼女は小さな声で説明を続ける。

 「ナイトメ」「ナイトメア、です」被せるな会話を、この子は会話などはあまり得意ではないと確信した。

 んっんっと喉をならして続ける。

 「ナイトメアって悪夢の?」

 「正確には、私が……ナイトメア……」

 混乱もあっただろう、エッチな期待もあっただろう、少なくとも元気な高校生だ。

 ただ今は 静かに少女のか細い声で発せられる説明を聞き取ることにしよう、ここが静かな寝室でよかった。

 

 少女が言う説明ではつまりはこうだ。

 ・俗にいうナイトメアとは悪夢のことだが本来は体を動かせなくさせたり息苦しくなる怪異の事を指すらしい。

 詰まる所は『金縛り』をしてくる怪異。

 ・ちなみに少女曰く「私は北欧の方から来たナイトメアでその中でも超優等生」らしい。

 まてナイトメア優等生ってなんだ?

 ・本当にサキュバスではないらしい。

 ・今日はじめて日本に降り、頼れる人の家に向かいながらも、初の旅行で浮かれたのか1回腕試しをしようとたまたまうちに入り込んだ。

 ちょっとまてそれは流石に犯罪じゃないだろうか。

 ・しつこいかもしれないがサキュバスではない、なぜだ、この世は残酷なのかもしれない。

 ・普通の人には姿の状態では認識できない(見えない)ようにしている、はずだった。

 しかし見えてしまった、何故だろう?

 ・本来であれば姿が見えず体を動かせないように人の上で、相手を目を見つめ相手を『チャーム』をし声も顔も体も自由ではなくなるとのこと。

 これに関しては半分そうだ、目を動かそうとしても少女の目に釘付けとなってしまっていた、しかし顔も動かせたし声も出来た。

 ・……ちなみにサキュバスではないらしい本当に、違うらしい、一般健康高校生男児には少し悲しい。

 「うー、うまく行かなかった……」鼻をずずっと啜る。

 流石に泣かせるのは申し訳ない、いや、ここで自分が申し訳ないってなんだ?そもそもなんの目的だ?

 いやとりあえず目の前にいる少女を落ち着かせるのが先決だろう、泣かれるのは少々気分が悪い。

 「とりあえず、1回落ち着いて、ね?なんかあったかいものでも飲む?」「あっ、いえ……お構いなく」グスグスと泣かれる。

 まずはこっちの身にもなってほしい、泣かれるのは勘弁願いたいので、とりあえず彼女をリビングまで連れ出しケトルの電源を入れた。


 「やっぱココアって美味しい……向こうのも好きだけど、こっちのはすごい美味しいです」

 声質的にはだいぶ落ち着いただろう、少なくともグスグス言わなくなっている。

 ソファに横ちょっと距離を開けて座り一緒にココアを飲んでいる、めっちゃココア飲んでる。

 「にしても北欧の方ねえ、だいぶ遠いしそもそも日本語めっちゃうまくない?」

 「親戚……日本人の方、いてそこから、教えてもらっていた」親戚、怪異にもそういうのか?

 「それでも流石に流暢すぎるよ、黒髪だし、日本人かなって最初思ったし」

 「まあ私、100年ぐらい、生きてます……」少女は少しおどおどしながらも会話を続けてくれる。

 あと黒髪は地毛とも話していた、北欧ってパツキンのねーちゃんしかいないわけではないとのこと、でっかいパツキンねーちゃん、おらんのか

 「あーそうなんだ、つまり100歳ぐらいなんだか」おい待て「100歳!?」普通に流すところだった素で驚くしかない。

 見た目だけだと同い年か、少し下かとしか見えない見た目をしているのだ。

 「そう、100歳……、まあ途中から、その……数えるのめんどくさいから……詳細ちょっとわかんない……」

 落ち着け、相手は自称怪異だ、それはまあ説に通る説明なのではないだろうか?

 「怪異って長生きなんだね……100歳かーすごい」少ない語彙力を自分の中で考え吐き出す、まあ嘘かもしれないし。

 「怪異って……なに?」少女、いや彼女は少し苛立ちを感じている様な口調をで切り出す。

 「怪異……じゃなくって……妖精みたいなもの、実際は」怪異ではないらしい、あとちょっと怒っているようだ、流石に言い過ぎたか……?

 「けど実害あるじゃな」「ない」ないらしい。

 「少し苦しいかもしれない、けどただのいたずら……子どものいたずら、悪いって思ってない、でしょ?」ふんっとふんぞり返る。

 しかし苦しいとわかっているのは流石に怪異の一種だしやめてほしい少し。

 「私、一応優等生だったの……勉強とか色々やって褒められて、色んな人に優しくされた、そこで違う文化圏も行ってみてって言われた」

 ……これもしかして優等生ではなく、ただ単に飛ばされたタイプの人間、いわば窓際族(これ正しい使い方か?)なのだろうか?

 続けて彼女は口を開く。

 「だから、優等生の私が……全然能力発揮できない、つまり強いあなた」ピンッと指を刺される。

 「私のために、あなたを……その、えっと……落とナイトメアさせてください」

 「流石に嫌だ」絶対苦しいじゃん……それ、と続けてツッコミを入れたくもなったが、とりあえずはやめとこ、さっき泣いてたし。

 「失敗したまま、帰りたくない……」また泣きそうになってる「じゃあ、早速」彼女はココアをクイッと飲み干しテーブルに置きぽんぽんと自分の太ももを叩く。

 えっいやいやいや、どういう展開よ、膝枕ってこと?

 「ん」引き続きぽんぽんと太ももを叩いている、んじゃないよ。

 「いやいや、ちょっと待って、それは流石に違うんじゃない?」

 「いやでも、ソファに寝たら、頭、痛くなるし……」いやそうじゃなくて。

 「あの一応君女の子だよね?」「うん、そう、男にでも見えた?」

 続けて少女は話す「そういう君だって女の子でしょ?大丈夫だよ」「私は男です」

 少女は少し驚いたような顔(をしてるのであろう)(少なくとも口元に手をやっている)をしている。

 「えっ、えっ、君男の子だったの?てっきり女の子だと思ってやってた……」

 確かに身長は小さい、ちゃんと自覚している、が顔は中性気味らしいしく女の子に見えるとのこと、流石に自分では認めない。

 この前一人で買い物してるとき鏡の前で髪を整えて(よし、今日も決まってるな)としてたら「きみ可愛いね」とナンパまがいなことをされたこともある(事なきを得たが)

 「そっすね、男の子やってます、なんでちょっと恥ずかしいっていうか」彼女の方を見るとすごく困った顔をしている。

 「うー、騙された」騙しては居ないが「うそつき」嘘じゃないが「私より、かわいい」それはない。

 「いやいや君のほうがかわいいよ」おい、僕、なんてことを言ってるんだ。

 少女は赤面しつつ「バカ」と顔をそらしてしまった。

 「それじゃ、膝枕が、だめ……なら」いそいそと少女は女の子座りをして足の間にクッションを置きポンポンとしている。

 「これ、なら」多分もっとだめだと思う。

 がこれ以上なんかややこしくなるのも仕方ないので恥ずかしくなりながらもクッションに頭を突っ伏す。

 「じゃあ、始めるね。」これから、落と《ナイトメア》されるのか……すこし気が落ちる。

 

 始まると同時に彼女はぽんぽんと頭を軽く撫で寝かしつけようとしてくる。

 それもそうか、寝ないとナイトメアにされるされない以前にできないのか。

 ココアを先程の一緒に飲んだからか少し自分も眠くなってきた、が状況も状況だ。

 寝静まるどころかむしろ少し興奮のほうが加算されてしまう。

 「そういえば、なんだけど」少女はポツリと呟く。

 「向こう、だとね、じつは実技やったことなくて。」「うん」「あ、大丈夫……寝るのに集中して」「あっはい」

 「実は君が初めてなんだよね」衝撃の事実。

 「待って、さっき優等生って言って」「座学は、ってこと」ナイトメアにも座学があるのか、意外。

 「けどね、私、寝かしつけるのだけは、得意」そう言いながらぽんぽんと続けざまに撫で続けられる

 そのうちにそちらに意識が行き少しうつらうつらとしてまぶたが次第に重たくなってくる。

 「そろそろ、かな」何も見えない、彼女の存在ががほんのりわかるぐらい「ちょっと怖いかもしれないけど覚悟してね」

 ふと女の子のいい香りが顔の近くに近づく、すこし息遣いに気になって目を開いてしまった。

 少女は赤面しつつも僕を直視しているこちらを見つめている、まっすぐとこちらを、淡い水色の目をしていて吸い込まれそうな感覚に陥る。

 近い、もうあと少し行くと顔同士ぶつけてしまうぐらい近い。

 「どう?動けそう?」本来であればこれでは動けないらしいが……。

 「めっちゃ動ける」言葉の通りめっちゃ動ける、たしかに目は取られるが喋れるし動ける。

 

 ……

 「悔しい……」めっちゃぼろぼろ泣いてる、そりゃそうだ、意気揚々にお前を落とすってしたのに全然できなかったのだから。

 背中をぽんぽんとあやし少し落ち着いてからふと時計を気にしてる、深夜は2時も過ぎている。

 「そういえば、自己紹介、まだだったね」言われてみればそれもそうだ、むしろ名前も知らない相手と恋人まがいなことをしていたんだぞ。

 「私は、メア、本名はびっくりするぐらい長い、からメアでいい」メア、ナイトメアとか掛かっているんだろうか?

 「君は?」じっと見つめられながらメアは回を待つ。

 「僕は朝倉、朝倉日向、ヒナってよく言われるよ」こんなものか?意外と自己紹介って意外と難しい。

 「ヒナ」ぼそっと呟く「かわいい」なんだとお前のほうがかわいいだろ。

 「ヒナ、今日はもう遅い、今日は帰る」ソファからすくっと立つと玄関の方へ……ではなくベランダの方へ歩いていく。

 「ちょっ、ちょっと!?メアさん、そっち玄関じゃ」「知ってる」

 続けて彼女は下手くそな笑い方をしながら口を開く「私、妖精だから」そう言い残すとベランダから飛び降りた。

 流石に初対面とはいえど人が死ににいくところを見るのは恐ろしい、が恐る恐る外を見てみると普通に空を飛んでる。

 「言ったよ?私、妖精だから」見た感じ羽は生えてない、人が何もなく浮いてるのは不思議な光景だ。

 「ココア、ありがとね、ヒナ」その一言をぽつんと呟いて羽ばたくかのように夜空に消えていった。

 「なんだったんだよ……これ」状態が結局あまり理解できていない、にしてもあの子、ココア飲むのすごく早か、った……な……。

 暗転。

 

 ピピピピッ、ピピピピッ。

 アラームが鳴る、グッドモーニング自分、清々しい朝だ。

 普段はこのままギリギリまで寝る予定だが、なんかそういう気分になれない、その理由は何故か床でプッツして寝て、よほど疲れていたのだろう。

 そのせいだろうあんな自称妖精のナイトメアに昨日は不思議な夢のせいだろう。

 二度寝してもう一度アラームを鳴らして起きるが、今日はそういう気分ではない、なんかやけにスッキリしてる。

 昨日見た不思議な夢、あれは何だったんだろう、朝食を作りにキッチンへ立ち、軽くトーストと目玉焼きを作る。

 ふと視線を落とすとシンクに水をつけてあるコップが2つ置かれていた。

 昨日洗い忘れたんだろう、きっと、自分は大体後で後でと回してしまう、悪い癖だ……。

 いつも通り制服に腕を入れ淡々と着替えていく、歯も磨いた、今日の僕はかっこいい!よし!

 「行ってきます」誰もいない部屋に自分の声が反響した。


 少し蒸し暑い中をゆっくりと歩いていく、別に遅刻しなければなんでもいいだろう?

 「おっヒナいるじゃん!」元気そうに声をかけてくる同じクラスの頭脳明晰、運動もできるイケメン。

 だったら良かったな、見た目に反しめちゃくちゃオカルトが好きな残念タイプのイケメン。

 しかし同時に自分の親友でもある、あと頭脳明晰は本当、普通に頭が良い。

 「今日もヒナは可愛いなー!」「それ毎回言うけどマジでやめろ。」そう、僕は可愛くない、かっこいいのだ。

 確かに身長は小さいと思う、が顔は中性気味らしいしく女の子に見えるとのこと、自分認めない。

 ワシワシと撫で回し「ヒナが女だったらなー」と気色悪いことを言っている、流石にライン超えだ、やめてくれ。


 そんなこんなで学校につき教室に入ると何やら騒がしい「転校生が来るらしい!」「男?女?」「海外からの留学生だってさ」

 「留学」という単語を聞き、少し胸が跳ねる、それが恐怖なのか期待なのか、自分でも分からない。

 いやいやまさか、ラブコメでよくある「あー!お前、あのときの!」みたいなパターンにはならないでしょう。

 流石にそんなコト起こったら王道すぎる、自分だって腐る程そういうアニメやら漫画やらを読んできたんだ。

 こんなあらすじ流石に王道過ぎて……ねぇ?

 そんな考え事をしていると前に座っているイケメンが雑に絡んでくる。「なあヒナー、転校生ってどんな子だと思う?」

 「さー検討もつかないな、お前だったらどういう子がいい?」

 「そうだなー、少なくとも可愛い子がいいかな、お前みたいな」「キッショ」

 「そうでないなら、んー、「実は怪異です」とか「未来人です」とかそういう?」

 あーそうだ、こいつはそういう趣味だった、ともあれそんな会話を繰り広げつつもガラリと引き戸が開く。

 「はいはーいみんな落ち着いて、席座ってねー」めんどくさそうな声を出しつつに教室に先生が入ってくる。

 転校生問題でざわざわしていた人も少しつつ散りつつも元いた席に戻っていく。

 「HR始める前に、1つみんなにいいニュースがありまーす」に先生はやりと笑った。「じゃあ入って」

 昨日も見た、蒼黒な黒髪で肌は病的に白くチラチラと髪の隙間から淡い水色の目をした女の子が入ってきた。

 クラス全体も自分の心の中もざわつき始める。

 「みんな知ってるかもだけどー留学生、北欧の方だってさ、まあ詳しくは君から説明してよ」

 「みなさん、こんにちは……よっ、夜坂……夜坂メア、って言います」「不束者ですけど……よっ、よろしくお願いします」

 終始オドオドしていたメアは最後、こちらに気がついたのか、パーッとしたキラキラしている笑顔を見せた。

 その笑顔はあのときベランダから飛び降りる前に見た表情と同じだった。

 多分、あの子は笑うのが下手なんだな。

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メアちゃんは眠らせたい やよゆ @yayoyu

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